『ショーイング・アップ』ケリー・ライカート監督作品。ロッテルダム映画祭でタイガー・アワードを受賞、インディペンデント・スピリット賞でも2部門にノミネートされた。
始めてライカート作品の良さが分かったかも。『リバー・オブ・グラス』『ショーイング・アップ』しか観ていないので偉そうなことは言えないけれど、この空気感が心地よく感じた。
二人の男が森でキャンプをする、それだけの話なのに非常に豊か。主人公たちの視線や言動、森の音などを繊細に捉えた演出が見事。さらにブッシュの再選という社会情勢も背景に見えてくる。
一時間強という短い尺に豊かな風味を含んでいる。二人の男それぞれの生き方は違う。しかし彼らに通う友情。そうした小さいけれど尊いものが詰まった一作と言えるだろう。
ライカート作品はこれまで合わないと思ったけど、本作は非常によかった。ロッテルダム映画祭最高賞も納得の愛すべき小品。ライカート監督の豊かな演出が映える一作だった。
