映画の味方あっつマン

彼らが本気で編むときは、の映画の味方あっつマンのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
3.5
11歳の女の子トモは、母親のヒロミと2人暮らし。ところがある日、ヒロミが育児放棄して家を出てしまう。ひとりぼっちになったトモが叔父マキオの家を訪ねると、マキオは美しい元男性の恋人リンコと暮らしていた——。



近年、LGBTという言葉を目にする機会が増えている。欧米では、以前から性的マイノリティーを扱った映画が数多く賞に輝くなど、高く評価されてきた。マイノリティーには住みづらい日本で、この映画が広く評価されているのは、LGBTへの認識が少しずつ日本で変わってきている証拠なのかもしれない。

リンコ役の生田斗真は、確かに綺麗ではあるが、女性としては違和感を残すところで留められている(※生田斗真なら、本来もっと見た目を美女に寄せられると思う)。さじ加減が絶妙だ。

一方の演技だが、生田斗真のリンコには、ちゃんと女性としての可愛らしさがあった。演技面では色んなところで叩かれているジャニーズだが、生田斗真はアイドル活動はせずに、俳優に特化している異色のジャニーズであり、難しい役どころも、演じきれていた。ジャニーズ初の「キネマ旬報ベストテン新人男優賞」は伊達ではなかった。

LGBT…一筋縄ではいかない事柄を、人の暖かさで、やさしく包み込む映画になっていた。この「やさしさ」がもっと日本を包み込むくらいに広がって、「やさしさ」ではなく、「当たり前」になれば良いのだが。現実はまだまだ「きびしさ」の方が圧倒的に多く、他者の「やさしさ」に淡く期待するしかない。

本作は「めがね」「かもめ食堂」の荻上直子監督の作品だったので、監督本人がLGBTであるグザヴィエ・ドラン監督の作品「わたしはロランス」「胸騒ぎの恋人」と比べると、女性ならではの視点で、良いあんばいにファンタジックになっていた、という印象。