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フラワーショウ!のLCのレビュー・感想・評価

フラワーショウ!(2014年製作の映画)
3.8
面白かった。

植物の世界ってあんまり知らないなーと軽い気持ちで見てみたら、最後の最後に実話と理解してビビッた。
世の中色んな闘いで溢れているもんだ…と改めて。

作品として見ると、「何の話だっけ」と思う瞬間はある。
催し物の話だっけ、恋模様だっけ、砂漠における緑の再生だっけ。
でも、最後に「伝えたい景色がたくさんあったんだね」と納得する。たぶん、これでも削って削って、可能な限り詰め込みたいところを何とか抑えて100分に収めたんだろう。

世間の無関心に働きかけることをやめて、兎に角自分の手で具体的に進めた方が手っ取り早い。彼の気持ちも理解できる。
主人公は、確かに自然に魅せられてるのだけど、恐らくは自然と共に生きる息遣いが好きなんだろうと感じる。だから無関心な世間に働きかけることをやめなかった。
自然の中で人も自然に呼吸している。そう感じられる空間を作りたかったのかなと思う。
これは確かに、自分の思い描くスタイルとは違うと気付いたのか、ノートを返した彼女の感覚も理解できる。綺麗な花を自然にある姿で描くのではなく、それを使った作り物(今回ならベッド)として見て楽しむデザインが好きなんだろうな、彼女は。人が主役になる為の植物。

砂漠に緑を蘇らせたい。
その為にこんなことをするよ、という具体的な景色がサラサラと映し出されて、私が思い出したのは不思議と街中だった。
街路樹とか、意識していなくても「伐採を推し進める人」「伐採に反対する人」のニュースが流れてくることがある。たった1本の木を守る為に署名活動が行われたりする。
街中から木を排除する動きの先には、どんな景色が待っているんだろう。街中に木を取り戻そうとする時、どんなことが必要になるんだろう。コンクリートジャングルなんて表現を聞いたことがあるけれど、コンクリートは、木々として存在することはできなかろう。

街中に草木が存在できるようなデザインも確かに必要で、でもその一面だけが自然を蘇らせる訳でもなくて、「各々のやり方で、各々の場所で守る」意識は、自然に対する人間の連帯の大切さを窺わせる。
そして、守る意識はきっと、親しみから来るのであるから、気軽に自然に親しめる環境を残すことは重要な働きかけのひとつなんだね。
たぶん、もうすぐ、家を出ればそこの桜並木が色付くと思う。今年も見上げる瞬間が待ち遠しい。

トイレの場面は結構笑ったんだけど、私たぶん大自然の中での食事も排泄も睡眠も、経験したことないなあ。
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