ペジオ

ブレードランナー 2049のペジオのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0
「ブレードランナー」が不倫相手との間に作った子供みたいな
でも正妻との子より正しく受け継がれてるみたいな

恐らくはこの映画の後に語られる出来事こそが「ブレードランナー」の世界において最も重要なお話なのだろう
「主人公の系譜に連なる選ばれし者」と「神を気取る誇大妄想な悪役」との戦い
凄い王道なエンターテイメントだが
……はて?「ブレードランナー」ってそんなスケールのでかい話だったっけ?
もっとこじんまりした、言ってしまえば「世界にとってとるに足らない話」だったと「記憶」している
だからこそロイ・バッティの至った境地に心揺さぶられたのだと

王道のエンタメに多い「…結局主人公が主人公なのは血統のおかげ」ってのに対するカウンターみたいな映画
恐らくはこのまま「神話」へと成長してしまうデッカードの系譜の物語(これがシンプルな「続編」のカタチだろう)に対して、「世界にとってとるに足らない男」のささやかな希望と絶望を巡る物語は正しく「ブレードランナー」の系譜
(どなたかが仰った「ローグ・ワンを思い出す」というのは凄く分かる。)
どこまで行っても自分は自分でしかないという残酷を受け入れた男の矜持は哀しくも感動的である


個人的には「仁義なき戦い」でいえばこの映画は「頂上決戦」に至るまでを描いた「代理戦争」
あるいは、前回の主人公が脇に回るという意味では「広島死闘編」でした
ペジオ

ペジオ