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セールスマンのTMのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
2.8
誰が一番深く彼女を傷つけたのか。

事故でアパートが半壊し、行くあてをなくしたエマッドとラナの夫婦。二人は副業で劇団員をしており、その劇団員仲間があるマンションを紹介してくれる。
前の住人の荷物が残るマンションに移り住んだ二人。ある日、エマッドが仕事で留守の間に、ラナが風呂場で裸だったところを侵入してきた男に襲われた。
エマッドは憤り、警察に報告してラナを襲った犯人を捕まえたいと思うが、ラナは夫と間違えて鍵を開けてしまった落ち度から、事件を訴えずに忘れたいと言い出した。

イランの映画って見かけないよね。だからこの映画は、日本との文化の違いを見せつけられる映画でもある。
血痕に車に携帯と、証拠品をもりもり残して逃げた犯人を捕まえることは容易いだろうに、それを拒むラナ。自分が襲われたことを周囲に知られるのを何より恐れていた。
この襲われたってのが、正直、怪我させられたのか、がっつり犯されたのかわからんのだけど、どうも前者っぽいんだよなぁ……。
それなら隠すこともなく訴えたらいいのにって私は思うんだけど、裸でいたとこを襲われたって時点でもうイメージ的にアウトっぽい。女の人、みんな頭から布被ってる国だもんね。
で、ラナの気持ちを尊重したいエマッドだけど、どうにも納得がいかなくて、独自で犯人を探し出しちゃって、事態は泥沼に……ってな感じ。

二重構成で劇団員が演じる『セールスマンの死』っていう作品が、舞台稽古と公演の形で同時に進んでくんだけど、正直その意味がわからん。
タイトルと絡んでるくらいだから重要なんだろうけど、この劇中劇が作品にもたらす効果が私には理解できなくて、すごくもやもやする。
それに話が進むにつれて悪化していく夫婦関係も、見ていて辛いものがある。

途中もあーあーって思いながら見ていくんだけど、ラストもうわーあって感じだし、なんだろうこれ……。救いがない。
よくわからないんだけど、わからないままにとても嫌な気分になる映画だった。
鬱になるからあんまりおすすめしないかな……。
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