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アリータ:バトル・エンジェルのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『アリータ: バトル・エンジェル』
原題 Alita: Battle Angel
製作年 2019年。上映時間 122分。
木城ゆきとによる日本のSF漫画『銃夢(ガンム)』を、同作の映画化を長年にわたり熱望していたジェームズ・キャメロンの脚本・製作により、ハリウッドで実写映画化したアクション大作。
監督はロバート・ロドリゲス。主人公アリータ役はローサ・サラザールが務め、いずれもオスカー俳優であるクリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリが共演。
余談ながら、ジェームズ・キャメロンは1995年以来、木城ゆきとの漫画『バトル・エンジェル・アリータ』の長編映画化を監督・プロデュースしたいと考えていたそうやけど、『タイタニック』(1997年)の監督に先約があったこと、木城の『アリータ』の世界をよく表現するために必要なストーリーとビジョンに、当時の技術が追いついていなかったことを挙げてる。

数百年後の未来。
スクラップの山の中から奇跡的に脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータは、サイバー医師のイド博士によって新たな体を与えられ、目を覚ます。
しかし彼女は、自分の過去や今いる世界についてなど、一切の記憶が失われていた。
やがてアリータは、自分が300年前に失われたはずの最終兵器として作られたことを知り、そんな兵器としての彼女を破壊するため、次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。
アリータは、あどけない少女の外見とは裏腹の驚異的な格闘スキルをもって、迫り来る敵たちを圧倒していくが。。。

アリータ自身は魅力的な主人公で、彼女がスクラップ置き場から成長し、再び生き、愛し、笑い、泣くことを学ぶのを見るのは楽しいものでした。 
アリータは強い女子の主人公であると同時に、周囲の人々の生活を改善しようとする繊細な心の持ち主でもあった。
彼女は、感情をあまり表に出しながらも強い主役になれることを証明し、サイボーグであるにもかかわらず、今作品で最も人間的なキャラやった。
残念なことに、他のキャラの多くはそれほどよく練られておらず、しばしば空虚で退屈な印象を受けたのは否めない。
例えば、アリータの恋のお相手ヒューゴは、ちょっと反抗的でアリータに人生の違った面を見せてくれる、ありふれた若い男性キャラのように思えた。
アリータ以外の登場人物は、ストーリーにほとんど影響を与えることなく、しばらくの間スクリーンの外に消えていくように見えたかな。
しかし幸い、アリータ自身がストーリーを牽引し、説得力のある作品に仕上げていた。
ハンター・ウォリアーのキャラが幅広く、興味深いデザインで登場するのも大きなプラスだった。人物造形に問題があったのは、時に平凡で陳腐なセリフが平板だったためちゃうかな。
脇役のキャラをもう少し成長させ楽しませたならば、より感情移入しやすいシーンになっやだろうな。
しかし、今作品はすでに上映時間が長く、製作中にある程度の妥協が必要なのは理解できる。
今作品は視覚的もとても印象的やった。
作り上げられた世界は生命力にあふれ、見事な風景が巧みなシーンを生み出した。
しかし、映画の中のシーンは、どちらかというと退屈で暗い印象の建物やアリーナの中にあることが多く、アイアン・シティ全体をじっくりと鑑賞するのに十分な時間がなかった。
CGIに関しては小生が書くのは烏滸がましいですが、一流で、特にアリータのようなキャラのアニメーションは完璧に見えた。
ただ、アリータが登場する水中シーンは、他のシーンよりも明らかに悪く見えたし、本物の俳優の顔が明らかなCGIに囲まれている組み合わせは、かなり障りがかる場面もあった。
しかし、全体的には信じられないほど印象的で、これがCGIの新常識だとしたらエキサイティングに未来に向かえる。
今作品はアクション満載でした。
ストーリーが平坦に終わっても、すぐに別のアクションシーンに引き込まれたので、しばしば凡庸なセリフやキャラを紛らわすことができた。
アリータを成長させる時間を与えるため、スローな部分もあるが、激しいアクションシーンと戦闘に満ちたテンポの良い映画やったし、2時間の上映時間はあっという間に過ぎてしまった。
全体的にこの映画は賞賛に値すると思う。
映画館で観れば説得力があったやろな。
今作品に対する唯一の疑問は結末。
クリフハンガー(続きを気にさせるような終わりの場面。ジェームズ・キャメロンが複数の続編に取り組んでいることを認めてるようやけど)が残されているようで、今作品の公開前に続編が計画されていたことを示唆しているよう。
もし続編はなく、物語は完結しなかったら、これは危険な戦略かな。
幸いなことに、フォックス社にとってこの映画はそれなりの成功を収めたようで、続編の可能性は高そうやろけど。。。



アリータの武器のダマスカスブレード(Damascus Blade)について徒然に。
このブレードは、ダマスカス鋼に似た外観をしていることからこの名前が付けられたそうな。
小生のコレクションにダマスカス模様の愛刀、剣鉈(赤色ダマスカス模様。これは刃がナイフ、剣型のような鉈です。軽量コンパクトなため、釣りや狩猟で魚を捌いたり、獲物を解体したり、調理にも用いられる刃物)がある。
最近やとダマスカス模様の包丁も刃物屋さんには必ずあるが、しかし、これは古(いにしえ)の鋼とは違う。
本来、アリータのブレードにあるダマスカス鋼は
古代インドで開発されたるつぼ鋼であるウーツ鋼の別称で、木目状の模様が特徴で、シリアのダマスカスで製造されていた刀剣などにウーツ鋼が用いられていたことに由来していて、現在のダマスカス鋼とは全く製法が違う。
現在のダマスカス鋼は、異種の金属を積層鍛造して模様を浮かび上がらせた鋼材をダマスカス鋼と木目は同じやしそう呼んでる。
そのダマスカス鋼のブレードを操るアリータ。
彼女の経験した感情や欠点は、アリータをより強くしているという点で、この武器はアリータそのものを表してる。
渋い、フィクションながら全財産を投じても欲しい欲しい。
このダマスカスブレードは元々、内側に鋸歯状のエッジを備えた 2 つの個別のブレードやそうで、オプション構成としてアリタのモーターボール本体の前腕に取り付けられていた(原作では)。
アリータがより熟練したモーターボール選手になると、エドは後に両方の刃を取り出して、それらを単一の刃の武器に再鍛造させたとある。
この辺りも映画で描いてほしかった。
ただ単に他人の武器を自分のにせずに。
また、このブレードの鋸歯状の部分を一連の穴に置き換えて重量を節約し、バランスをとることで、わずかに大きくなる。
この新しい刃はダイヤモンドのように硬く、高圧水か超音波でしか磨くことができない。
嗚呼、欲しい。。。などなどのレアメタルで構成されてで、ダマスカス鋼を思わせる模様が施されてる。
今作品ではあまり詳しくは触れてないが、小生はこの部分だけでご飯をバケツで食べれるくらいのおかず感があったとかなかったとか。。。
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