エイデン

ダーク・クライムのエイデンのレビュー・感想・評価

ダーク・クライム(2016年製作の映画)
-
定年を間近に控えた巡査タデックは、妻マルタとの関係も冷え切る中、自分を閑職に追い込んだグレガー長官が絡む未解決事件を再調査しようと考える
それはセックスクラブ“ケージ”に通っていた客サドウスキーが死亡したという事件だった
サドウスキーの死体は運ばれて森の中の水辺で見つかっていた
またその死体は縛られ、首には絞められた跡、しかし直接の死因は体内で見つかった致死量の睡眠薬によるものだったことから、ケージで行われたSMプレイの最中に事故に見せかけて殺害されたものと考えられていた
タデックは部下を伴って独自に調査を開始する
タデックは部下のヴィクターと共に死体が見つかった川を当たるが、そこまでサドウスキーを運べるのは大柄な人物だったと考える
続いて彼は、ケージのあった建物の管理人に会うと、内部を捉えた映像を確認ことに
訪れていた客は殆どが不明だったが、何名かは割れていた
その名を管理人が挙げている最中、ヴィクターは客の中にベストセラー作家のコズロフが含まれていることに気が付く
コズロフの新作小説の朗読版をダウンロードしたタデックは、調査の合間に内容を聞き始めるが、それはSMクラブの常連を主人公にした犯罪小説だった
タデックはコズロフを監視すると、彼は妻と別れ恋人のシングルマザー カシアと会っているところを目撃する
その帰り道、コズロフの新作の続きを聞いていたタデックは、作中に出てくる死体の描写がサドウスキーのものと全く同じであると気付き、コズロフが犯人であると断定する
タデックは友人であり上司のピョートルの後押しもあり、正式な再調査を上層部に嘆願
認可を受け、新作発表会の場でコズロフを連行するが・・・



ジム・キャリー主演のサスペンス・スリラー映画

久々に笑いを廃してハードな演技をするジム・キャリーが最高
くたびれた容姿ながら眼光鋭く、全てを投げ打ってストイックに事件を追う仕事人間を演じきった
時折こういう役やるけど、年相応の年季が入った力強さが別人みたいで良い

ストーリーは未解決事件を再調査して、その事件と瓜二つな描写が出てくる小説の作者をとっちめるというものだけど、まさかの実話がベース
雑誌『ニューヨーカー』に掲載された記事が基になっている
2000年にポーランドで会社経営者のダリウシュ・ヤニシェウスキーが遺体となって湖に浮かんでいるのが発見
3年もの間未解決事件となっていたものの、2003年に発表されたある小説に事件の詳細な描写が載っていることが判明し、作者のクリスチャン・ベラが逮捕されたというもの
ベラは被害者が妻と浮気をしていると思い込み、嫉妬に狂って強行に及んだとされた
もちろん事件自体の映画化ではないので、多々脚色が加えられてるけど、なかなかドラマティックな話なので、調べてみると面白い
『ニューヨーカー』の記事は公開されてるので、「True Crime: A Postmodern Murder Mystery」で調べると出てくる

事件を追う作品の展開としては捻りもあって面白いんだけど、そこまで前のめりになって観られるような緊迫感には欠ける印象はある
ダークで重々しい雰囲気や前述のジム・キャリーの演技は良いんだけど、あまり事件そのものと主人公の動機がリンクしていないので、淡々と進みすぎてるような感覚に陥ってしまう
ラストに至るまで二転三転するストーリーの面白さを引き出し切れていない様子だけど、好きな人は好きかもしれないので観ましょう
エイデン

エイデン