MasaichiYaguchi

フェリシーと夢のトウシューズのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.4
この作品は、世界最高峰のバレエ団として名高いパリ・オペラ座バレエ団でエトワールとして踊るという夢を持った少女の物語。
パリ・オペラ座を題材にした映画というと、その舞台裏に迫ったドキュメンタリー「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」が現在上映中だが、このドキュメンタリーで映し出された夢や伝統が受け継がれていく様子が、本作でも心の琴線に触れるドラマで描かれていく。
更に本作で繰り広げられるバレエの数々は、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督のオレリー・デュポンやジェレミー・ベランガールが振付しているので、アニメーションとはいえ、本格的でうっとりする程美しい。
本作で描かれる11歳のフェリシーの夢への挑戦は、エッフェル塔建設中の19世紀末のパリを舞台に、孤児という親も無く家も無く、お金も無いという無い無い尽くしからスタートする。
バレエの才能があり、踊ることが大好きでも、誰でもがオペラ座のエトワールになれる訳ではない。
それでもフェリシーには、彼女の夢を後押ししてくれる人々がいる。
一人は同じ施設で育ち、偉大な発明家になることを夢見るヴィクター、そしてもう一人は、パリで身寄りもないフェリシーに偶然出会い、手を差し伸べることになる掃除係のオデット。
フェリシーは、これらの人々のアシストを受けながら、夢に向かって一歩ずつ歩んでいくのだが、そこには最大のライバル、カミーユや、その母で冷血なル・オー夫人が立ちはだかっている。
若さや能力があっても、一生懸命努力しても、叶わない夢もある。
本作はそのことをストーリーに滲ませながらも、人一倍の努力と情熱で頑張るフェリシーの姿を通して、夢を持つことや、それを実現させる為に切磋琢磨する大切さを描いている。