映画の味方あっつマン

あゝ、荒野 前篇の映画の味方あっつマンのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
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2021年東京。かつて親に捨てられた新次は、兄貴分の劉輝を半身不随にした元仲間の裕二への復讐を誓っていた。ある日彼は、街でティッシュ配りをしていた吃音で対人恐怖症の健二と一緒に、堀口からボクシングジムへ誘われる。2部作の前編——。


寺山修司の原作小説は、1966年に刊行されており、1964年の東京オリンピック後の時代を描いていた。(※原作は未読)

映画版の本作では、2020年の東京オリンピック後である2021年が舞台だ。震災の傷跡はまだ残り、爆弾テロが起こり、介護問題と自殺者が増加し、徴兵が始まりつつある…今の日本と地続きの生々しい近未来が描かれている。

新次役の菅田将暉の演技も良かったが、健二役のヤン・イクチュンの演技も素晴らしかった。映画「息もできない」のときの暴力的な“サンフン”の演技とは違い、本作の「強くなりたい」と願うが、一歩踏み出せない“健二”の姿は愛おしさに溢れている。主演の2人だけではなく、でんでんやユースケ、木村多江など、脇役の演技も圧巻だ。

まだ前編だからか、裕二などライバルジムの存在感は薄い気がした。ラストバトルはもしかしたら…。西北大学の自殺研究会の件も後編では、もっと絡んでくるのだろうか。

後編も楽しみだ。(※レンタルはこれから)