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ジャイメ(原題)のROYのレビュー・感想・評価

ジャイメ(原題)(1974年製作の映画)
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撮る、覗く、観る

◼︎ABOUT
ポルトガルのバルコスに生まれた農民、Jaime Fernandezの世界、人生、作品。38歳の時に妄想型統合失調症と診断され、リスボンの療養所に収容され、69歳で亡くなった。65歳の時に絵を描き始め、亡くなるまでの短い生涯の間に、社会環境や療養所の日常生活に影響を受けた見事な絵画作品を残した。

https://www.filmaffinity.com/en/film522549.html

◼︎NOTE I
Jaime Fernandezは、ポルトガルのアール・ブリュット(Art Brut*)/アウトサイダー・アーティストの中で最も認知されているアーティストである。しかし、この認知度は主に国外でのものであり、この事実は彼の作品の大部分が失われていること、あるいは残りの大部分が海外のコレクションに散らばっていることのどちらかによって説明される。

1938年に精神分裂病と診断されたJaimeは、ミゲル・ボンバルダ病院(リスボン)に30年以上収容され、1969年にそこで亡くなった。

Jaime Fernandezが思いがけず絵を描き始めたのは、亡くなる4年前、66歳の時だった。

知られている彼の作品はすべて、さまざまな種類の紙に色ボールペンで描かれた日付未記入のドローイングで構成されている。その中には、想像上の動物や人間、擬人化された人物の縮小された形が、無数のバリエーションで現れては消え、また現れ、常に緻密な網目状の線で描かれている。

手紙、その他の文章、絵画は、彼の死後、アントニオ・レイス(Antonio Reis)とマルガリーダ・コルデイロ(Margarida Cordeiro)によって映像化され、映画『Jaime』(1974年)が制作された。

アントニオ・レイスの言葉を思い出すと、Jaime Fernandezは「ドローイングや絵画が占めるべき空間について、完璧な概念を持っていた」。紙の小さなサイズに制限されていたため、彼の男性像の多くは腕を垂らしたり上げたりしており、動物像は尻尾を垂らしている。したがって、デッサンの態度は常に紙の区切りの機能であり、彼は常に見事な可塑的解決策を見出していた。それはまた、感情的で強迫的なステレオタイプや原型と結びついている可能性もある......」。

↑https://museusoaresdosreis.gov.pt/jaime-fernandes-one-of-the-most-striking-names-in-portuguese-brute-art/?lang=en

*20世紀を代表するフランス人芸術家のジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet)が提唱した芸術の形『アール・ブリュット Art Brut』。フランス語で“生の芸術”という意味の造語で、これまでの西洋芸術の流れを否定し、特別な芸術教育をうけず、技法や様式などの既成概念にとらわれない人々がつくりあげた純粋で無垢な芸術作品を評価したもの。

彼の集めた約200人の作品およそ5000点のコレクションがローザンヌ市に寄贈されたことをうけて、18世紀の由緒ある邸宅をいかして美術館が1976年にオープン。デュビュッフェが、主に精神病患者や受刑者が病院や牢獄内などで描く作品を蒐集していたため、精神障害者のアートとも思われていますが、実際は社会から外れてしまった人たちが、自らわきあがる創作の欲求や心の癒しなどのため“秘かに、静かに、孤独に”つくっている作品全般を広くさしています。

美術館では、さらに世界各国のアーティストの作品を幅広く蒐集し、現在では約350人の作品3万点もの所蔵を誇っています。さまざまなテーマ企画展を通して、際立って個性的な作品の世界を体験することができるでしょう。

↑https://www.myswitzerland.com/ja/experiences/collection-de-lart-brut/

◼︎MUSIC
◯ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)の「St. James Infirmary」
◯ゲオルク・フィリップ・テレマン(Georg Philipp Telemann)の「Der getreue Music-Meister, Sonata in Canon in B Major, TWV 41:B3: I. Largo (Arranged for Recorder and Continuo)」
◯カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen)の「Gesang der Jünglinge」
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