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バトルラインのp99のレビュー・感想・評価

バトルライン(2001年製作の映画)
1.4
ダニエル・クレイグのことを敬愛してやまない僕でさえ全く面白くなかったのだから、彼のことを知らないとか、ちょっと知っているって人にとっては全く観る価値がない(断言)。

僕が人生で初めて乗ったジェットコースターが富士急ハイランドのFUJIYAMAで、その後はほとんどのジェットコースターに躊躇なく乗れるようになったように、本作を観ていれば、かなりつまらないとされている映画でも躊躇なく観ることができるようになり、かつ、そのつまらなさもある程度楽しめるようになるだろう。

・・・

ダニエル・クレイグが演じるのはイギリスの軍人クラウチバック(カバンの名前みたいだな)。彼は熱心なカトリック教徒であり、様々な戦線をくぐり抜けながら、「本当の正義」とは何かを明らかにするはずだったのだが、原作者または監督が思い描いていた「本当の正義」が何か視聴者に全く伝わってこない。多分、演じているクレイグでさえ分かっていない。

まず、戦争モノなのに敵の姿が全く画面に現れないことに問題がある。一応ドイツ兵と戦う話なのだが、冒頭部に2人登場した以外にドイツ兵が出てきた記憶がない。常に映されるのはイギリス兵の姿。彼らが談笑したり、海で泳いでいたり、いきなりテンションが下がったりする様子から何があったのかを想像しなければならないので非常に疲れる。そして、それが想像できたところで「フーン」という感想しか湧いてこないので、虚無感がハンパない。

一応、(3時間を越える映画なので当然)劇中でそれなりに色々なことが起こる。しかし、その大半が物語の筋と無関係なのだ。ちなみに、僕は筋となるストーリーを掴むことさえできなかったので、捉えようによっては、画面内で起きている事象全てがストーリーと無関係なんじゃないかという哲学的なジレンマさえ湧いてきた。

この映画で起きた事象の一部を書くと…
・同居人の荷物の中にある携帯トイレをさすりながら愛でる上官
・小屋の中で爆発する携帯トイレ
・深夜に上陸してココナッツを取ってこいという司令官
・上陸したと思ったらなぜか一直線に敵陣に走る兵士
・別に上陸していたココナッツ大好き司令官に戦闘中に出くわす
・食い意地が張っている上官が見方から撃たれる
・訓練中に二度も脚を負傷する主人公

まだまだあるが、ここまでにしておこう。羅列した事象全てが唐突に始まり、唐突に終わる。そして、その後の展開になんの影響も与えないのがつらい。

せめてウォッカマティーニはクレイグに飲んでもらいたかった(他の登場人物が飲むシーンがある)。この6年後によくボンド役を勝ち取ったなとしみじみした。よかったね!クレイグ!苦労してたんだね!
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