序盤から緊張感が途切れず面白かった。主人公が潜入するまでの経緯説明を最小限に抑えて、冒頭からいきなり潜入が始まるのがいい。実際、敵軍に潜入してるのは見てれば分かるし。
主人公側も敵側も同じ民族相手に騙し合って殺し合ってると思うと、戦闘シーンにも悲哀を感じる。
主人公の母親役でちょっと出てたキム・ヨンエさん、「弁護人」で食堂のお母さんだったなあ。2017年に他界された由。享年66歳とのことで、なんとも惜しい。
キャストにパク・ソンウンの名前があったので、どういう役なのかと思っていたら登場早々「Oh...」っていう扱いだった。この人はイ・ジョンジェに殺されて高いところから落とされる運命なのか。
ほぼ紅一点のナースがやたら現代的な垢抜けた美人で、作品から浮いていることこの上ない。顔が現代的かどうかは主観なので置くとしても、髪が茶色で、可愛らしくウエーブまでかかってるのはダメでしょう。朝鮮戦争の映画に普段の髪のまま出たんだとしたら映画をなめてるし、周りも注意すればいいのに、と思った。
気になるのは全体的な演出過剰。緊迫したシーンでは「はいここ緊張するところ！」、悲しいシーンでは「はいここ泣くところ！」と言わんばかりの劇伴が流れるのだが、それは観客が感じ取ることであって、BGMで先回りして教えることではない。それをされると見ている側はむしろ白ける。
そんな残念さもある中、北朝鮮の軍人を演じたイ・ボムスの悪役演技は秀逸。出演シーンの大半で喫煙しているという作り込み（このタバコ吸う芝居もまた上手いのだ）も含めて強く印象に残る。
