芹沢由紀子

君の名前で僕を呼んでの芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.7
北イタリア、1983年夏、特権階級の少年と家族、6週間のアヴァンチュールを描いた作品。

イントロのピアノ曲のBGMといい、ヘレニズム文化の彫刻のチョイスといい、お洒落な映画に間違いないと期待値が高まる。

とにかく、半ズボン。半ズボン。オリヴァーの半ズボンが容赦なく目を刺してくる。ンまぶしい!

シルが滴るアプリコット、自転車、詩集。
主人公がピアノを即興演奏するシーンはすばらしい。

この先ネタバレありますのでご注意ください


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主人公も、17歳とは言えイタリア男なので、本当に口がうまい。とても素敵な手法で男女問わず口説きに行く。自分の若さと美しさを熟知?自覚しており、小枝のような細い体つきしてるくせに、大人顔負けの恋の駆け引きなど繰り出してくる。
かと思えば、半泣きで親に甘えて行ったり、まだまだ子供の一面もさらけ出してくる。
本命がいて、その恋人との初夜の予行演習として、2番目の女の子でルンルンしながら練習するとか、そういうことを悪びれずにできてしまうことこそが若さだよな、とか自分の10代のころの黒歴史を思い出させられてああ!(膝がガクっ)ってなった。

しかし肝心なシーンでいつも画面にハエが飛んでる(キャストにたかってる)のはなんでなんだろう。
そんな瞬間さえも、すべてをフィルムにこぼさず残したかったのかな。意図があるのだろうか。
132分という長さを感じさせない美しい作品でした。

主人公のエモい部分の心情を表す英語歌詞の曲は割とストレートなものばかりなのも、チープな感じをわざと演出しているのだろうか?

主人公のパパの爆弾的カミングアウトも、どういうスタンスで受け入れたらいいのか戸惑う。

疑問符ばかりであまりにどんなものも新鮮に映るのはやはり、アメリカ映画ばかり見すぎたせいなのか。反省中。
芹沢由紀子

芹沢由紀子