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暗黒女子のMrMINEのレビュー・感想・評価

暗黒女子(2017年製作の映画)
3.8
誰かが言った〝神様は男に腕力を与え、女には精神力を与えた〟と。
男の僕からすると、勝ち負けのハッキリした女性だけの精神社会(特に本作のような女子高生の世界)なんて想像もつかないわけで・・・。
それゆえにこの物語はとても神秘的且つファンタジックに見えた。

舞台はお嬢様高校の文学サークル。憧れの的であるサークル会長の死を告発する部員たちによる朗読会。
物語は真実が明かされていくと共に進行していく。

上品なクラシック音楽を背景に、幕を開けるこの映画。
上質な舞台を見ているかのような雰囲気さえ漂う美術セットと演出。
しかし、その上品さとは裏腹に、物語はすすむにつれてショッキングで、気分が害されていく結末を迎え、エンドロールにはヒップホップが流れる。
約2時間、僕は何の映画をみていたのだろうかと混乱するほどに、この映画はジャンルを超越した仕上がりとなっている。

ロマンス、サスペンス、ホラー、ファンタジー等々
創造力の無敵さに恐縮してしまうほどに物語は進行していく。
こんな映画見たことない!
原作小説は〝イヤミス〟。日本だからこそ生まれ、日本人だからこそウケたジャンル。

創造力と思い込みで人間社会を形成し、勝ち組になるべく自分を美化する。
すべては各々が自分というブランドを生かし、輝かせ、成長させるために。。。
これは非日常的物語なんかではなく、この人間社会におけるごく当たり前の物語。

映画の中心を固める女の子たちは皆美女。この純白の娘たちの汚れた黒い演技がよく輝いている。女の武器を最大限に生かした憎らしく嫌らしい演技。
主演の清水富美加が芸能界に嫌気がさす気持ちもわかる表現力の卑劣さ。
(女性特有の憎々しい冷酷な鳥肌モノの演技を見せてくれる清水富美加。出家して芸能界を去ったことは、大変に勿体無いと感じる。意味ありげな笑みを常に浮かべていた銀幕での彼女の表情は忘れられない)


P.S.現代社会において「JKブランド」とは大変に煌びやかな称号らしい。夢に溢れた若さという向かうところ敵なしの称号。
もはやJDは手遅れのブランド、となると成人超えの社会人ともなると、もはや古墳か・・・
自分中心に地球は回っていると信じている、自信に満ち溢れた傲慢なJKたちの結末は・・・

この映画は一種の心理ゲーム。
この映画を女性がどう感じるか、心の奥底の思いや感想によってその女性の本性が見て取れるのかもしれない。。。
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