やまもくん

真夏の素肌のやまもくんのレビュー・感想・評価

真夏の素肌(2014年製作の映画)
4.7
女ってわかんね。少女なら尚更。

「父、帰る」って映画がありまして、かれこれ10年ほど前に観た映画なんです。確かあらすじは母子家庭で育った2人の兄弟の元へ、ある日いきなり会ったこともないような父親が帰ってくる話です。映画全体もそうなんですけど、なんというかその父親の無機質な感じ、得体の知れない感じがたまらないんです。

だって親父ってそうじゃないですか。母親ならまだしも親父ってよくわかんないじゃないですか。

そして本作「真夏の素肌」ですが、今日観たんです。あらすじは母子家庭で育った2人の女友達が、ある日いきなり会ったこともない女友達の片方の父親に会いに行く話です。しかも娘じゃない方が娘のフリをして、娘の方が友達のフリをするっていうね。お話としてはこの時点で勝負ありなんだけど…そしてまさかの父親役が「父、帰る」の親父てっいうね。爆笑ですわ!!しかもあの無機質な感じが全然変わってないんです。
とりあえずここはひとつタイトル変えた方がいいんじゃねぇか。

「娘、帰る」
「娘の秘密」
「娘が来た!」
「そして娘になる」
「ムスメVS新しいムスメ」

どうでしょ。駄目でしょ。

エロティックコーナーにありました、ジャケのややこしいけど娘じゃない方の娘が美しすぎるので手に取ったんですけど、父、帰るが息子の成長物語であったようにこちらもこちらでしっかりとした娘の成長物語になっております。父を知らない子供達の通過儀礼なんです。それが実際の父親じゃなくても自分を理解するキッカケになり得るのです。向き合うか向き合わないかで大きく人生が左右します。それをこの映画は偽りなく表現しきったと言えるでしょう。後半、目も当たられないほどのガチ娘による崩壊ぶりもちゃんと向き合わなかった結果なんです。理に適ってる。何事も逃げたら駄目だな。紛れもない大傑作。

酒は都合がいいね。酒に溺れてもロクな事にならない。酒の力で何か見えてくることもしばしば。クズ鬼畜全開の親父の泥酔が最低で最高でした。