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笑う故郷のHKのレビュー・感想・評価

笑う故郷(2016年製作の映画)
3.8
昨年の作品でなかなか面白かった『コンペティション』の監督(ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン)の作品をU-NEXTで見つけて鑑賞。
アルゼンチンとスペインの合作です。

かつて故郷を捨て、別の地で名を成した著名な作家が気まぐれに故郷に戻ったために酷い目に遭うお話。
ちょっと筒井康隆の短編「乗越駅の刑罰」を思い出しました。

主人公は40年前に故郷のアルゼンチンの田舎町を飛び出して現在はスペイン在住、今やノーベル賞作家として文壇の重鎮ですがこの5年間はスランプ状態。
冒頭のノーベル賞受賞式でのスピーチからして、主人公の皮肉屋で嫌味な性格が炸裂、空気が一変した会場の気まずさが伝わってきて、この後の展開の伏線となります。

このプライドが高くシニカルな有名作家を演じるのはオスカル・マルティネス。
この人こういう役は絶品で、『コンペティション』(共演ペネロペ・クルス、アントニオ・ヴァンデラス)でも、獲ってもいないアカデミー賞辞退のスピーチの練習をする大物舞台俳優役がハマってました。
本作ではヴェネチア映画祭の男優賞を受賞しています。

コメディと思って見始めるとだんだんとホラーの様相を呈していく展開がなんとも…
近年また流行りの田舎ホラーのテイストもあります。
ラストの皮肉な展開も『コンペティション』そっくり。

原題は” El ciudadano ilustre”(名誉市民)。
ジャケ写はそのメダルの授与式のシーン、この時点ではまだ皆さん和気あいあい・・・

けっこう好みだったのでこのコンビ監督の他の作品も観てみたくなりました。
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