KEKEKE

アンダー・ザ・シルバーレイクのKEKEKEのレビュー・感想・評価

2.0
- 新進気鋭と呼ばれる監督たちの中には、現代を上手に気持ちよく皮肉るのが上手い人たちがたくさんいるけど、自分にとってこの人のアイロニーはニヒル成分が強すぎて当てられてしまった

- 確かに最近は、考察や深読みが前提になっていたり、最悪リファレンスを知ってるか否かのカルトクイズと化していたり、SNSや動画プラットフォームを中心に映画音楽漫画の楽しみ方が次第に変化してきているのも事実だ
- 作品に集中する人間のパイと資金が肥大化する一方で、それは私たちに「何かを信じること」を強制し、ひとつの場所に集まることを歓迎する側面がある
- その結果シーンが生まれ、権威が発生し、消費され、解散し、それが延々と繰り返された先で、振り返れば人々の間に分断だけが残っていることもしばしば

- ファクトとフィクションは決して二分できるものではなく相互に影響を与えあっていて、それが正史と呼ばれる幻想を形作っているものだと思っている
- 陰謀論も、情報が無限に降り注ぐ現代で人民に遍く認められた解釈のひとつではあるのだけど、それは人間が積み上げてきた歴史や科学を土台から崩し、台無しにしてしまうという点で社会にとって有害であると見做される
- しかしそれは一方で、様々な理由で社会を信じることができない一部の人たちにとって、逃避であると同時にこの世に残された数少ない救いでもあるんじゃないだろうか
- そして、誰もが全てを自由に信じる権利があるからこそ、むしろ一番肌に近い感覚みたいなものの価値が上がっているのも事実そうなんだろう
- 何者にもなれず、誰もが誇大妄想狂になりかねない現代で、何を頼りに生きていけば良いのか少し考えさせられた

- それはそれとして、この作品がそのどこにメッセージを発しているのか正直わからなかった
- 深読みや考察の必要性をキャンセルするとしても、その上で楽しめる作品にして欲しかった
- そうでないなら考察厨みたいな輩を完全にコロしてやるくらいのことはやって欲しいと思った
- 多分自分には映画リテラシーが足りていなくて、ついていけませんでした
- これが何らかの知識が必要な映画なのかすらわかってないけど、鑑賞者に知識ベースのリテラシーを要求してくる、かつこっちに解釈をぶん投げてくる作品を観ると、その仕事は論文に任せておけばいいんじゃないかと思ってしまう

- でも正直もう一回観てみたいとも思ってる
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