しゅん

少女暴行事件 赤い靴のしゅんのレビュー・感想・評価

少女暴行事件 赤い靴(1983年製作の映画)
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ほんと好きな映画だったので、ちゃんと言葉にできるか心許ない。

カメラを少し横移動させて奥行きを作る効果がデカくて、古河駅でのバイク迎えのシーンだけでグッとくる。川のシーンで野球を映していると思ったら奥のボートによるカット、走行中のバイク車輪のアップなど、とにかくカメラワークが利いている。マンション部屋から映す神宮球場もやたらポエジー。

地元で生きることも東京で生きることもできない宙ぶらりんの心情と、個人の意図をいともたやすく裏切る無情の双方を仮託する川の映像は、中根透の部屋にあったブルース・スプリングスティーン『ザ・リバー』のポスターと呼応する(映画全体がスプリングスティーンの歌だ)。自らがバイクと化し、過去の記憶を反芻するセックスシーンの淡さといったら!残酷さと好奇心(レイプ教唆と浮気)と痛みとやさしさ(電車に飛び乗るシーンのわちゃわちゃ)がぐるぐるする18歳女子二人の、憎悪と愛情が混ざる関係の表し方も見事で、井上麻衣と小泉ゆかの表情もいい。そして、メジャーシックスの和音に乗って描かれるあの結末。俺はマミに愛着を抱き切っていたので、最後悲しくて仕方なかった。
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