ツクヨミ

サーミの血のツクヨミのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
1.9
古来続く民族差別の愚かさ。
スウェーデンで暮らす遊牧民サーミ人に生まれたエレ・マリャは遊牧生活に嫌気が差し街に寄宿するが…
民族差別をテーマにしたドラマ作品。今作はサーミ人に生まれた娘が受ける小さな迫害を描いていて心が痛みました。サーミ人とは古来から続く遊牧民族血筋の俗称で世界各地に暮らしていますが、彼らは一般人と違い制限が科されています。これは小さなことだが一般人とは違う扱いを受けているのは立派な差別、サーミ人ということがわかった途端に冷徹な対応をされる主人公をカメラはじっと映していく。正直こんな差別が現代でもあるのかと考えると虚しくもなり、人間の愚かさを改めて感じた。
しかしそんな差別の中でも主人公エレ・マリャは進学を夢見てもがく姿が儚くも美しい。差別を受けていることを良しとせず、前に進むために努力しようとする人間の心強さが溢れていた。
全体を通してスウェーデン映画らしい静かな作品でしたが、逆境に立ち向かおうとする強い意志を感じられました。
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