たかくらかずき

THE BATMAN-ザ・バットマンーのたかくらかずきのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

とにかく絵がヤバい!!画のセンスがめちゃくちゃいい!ウォッチメンやブレードランナーに匹敵する画作りの美しさ。ツッコミどころとかわかりにくいシーンとかめちゃくちゃあったけど、どのシーンも絵がヤバいので"うわー全然意味わかんねぇけど絵がクソカッケー"って感じで観てしまう素晴らしい映画だった…こんなに画面を額に入れて飾りたい映画ってなかなか出会わないぞ。

サスペンス要素もなかなか良いのだけど特にこの映画のよさが際立ってたのはカーチェイスのシーンで、"何が起こってるのかうまく説明されてないけどカッコいい"カットの連続。というかもはや、『カッコよさを優先するために何も説明しない』映画なんじゃないか!?真っ赤なライトのクラブシーン、真っ青な看板のレストラン、暗闇で銃から出る火だけで照らされるアクションシーンなども『何が起こってるのか全く分からないがカッケェ!!』の極み。

しかしながらこの映画には『何が起こってるのか説明しようとする』と途端にしぼんでしまうという弱点もあり、ラストにかけて風呂敷をたたんでいくと犯人像や犯人のプラン、彼らのステイトメントがこじんまりしてしまったなぁという感じもした。まず津波が来てるのに海抜より低い建物に避難するのは愚策なのでビルの屋上に行ってくれ!

こと敵役の描写不足は見てとれたけど、バットマン本人のバックボーンや人格の描写はいままでで随一のもので『金持ちなりのシリアスな悩み』ってのがしっかりと描かれていたのは今回がはじめてなんじゃないかな?と思う。いままでの歴代バットマンは『金持ちでいいよな〜。本人筋トレ以外は何もやってないじゃん』みたいな描かれかたが多かったのだけど、今回はそうではなく『金持ちなりに背負う責任とか血筋とかによる社会の目とか、ドジとかある』等身大の人間として描かれていた。

どことなく007的なノワール感や男女のロマンスがあったりしつつ、"復讐者さん""復讐からは何も生まれない"など、明らかにMCUアベンジャーズに対するビーフっぽいセリフもなかなか粋だな〜と思ったな。DCも頑張れ!って気持ちになった。確かにMCUのような"パーフェクトな"ものではないかもしれないけど、かなりアジのあるものができてきてる感じがするのでこれからのDCも楽しみです。

この3時間はお風呂のように浸れる。この映画が流れている空間に浸っていたいなと感じる映画で、雨の夜のこのゴッサムシティはなかなか物騒だけど良い。
たかくらかずき

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