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モデル 欲望のランウェイのkuuのレビュー・感想・評価

モデル 欲望のランウェイ(2016年製作の映画)
3.7
『モデル 欲望のランウェイ』
原題The Model.
製作年2016年。上映時間108分。

華々しいファッションモデル業界に渦巻く欲望を描いたデンマーク製サスペンスドラマ。
主演のエマ役のマリア・パーム。
彼女は、実生活でも国際的なファッションモデルで、マーク・バイ・マークジェイコブス、ディーゼル、YSL、H&M、エトロ、ZARA、ロレアルなどのブランドのキャンペーンや、ヴォーグ、ELLE、ハーパーズ・バザールなどの雑誌のエディトリアルで活躍してます。
シェイン役に『デッドプール』のエド・スクレイン。

ファッションモデルになる夢を叶えるため故郷デンマークからフランスにやって来たエマは、撮影現場で新進気鋭の写真家シェーンと出会う。
シェーンは撮影中のエマのぎこちない態度に苛立って彼女を追い出してしまうが、その後ふたりは偶然にもクラブで再会し、惹かれ合うように。
エマはシェーンの専属モデルとなり、急激にスターダムを駆け上がっていく。

パリに住む若いファッションモデルが競争の激しいシーンで活躍しようとするものの、肉食系のモンスターや誘惑の犠牲になってしまうという今作品。
役者としてのマリア・パームが、彼女の目を通してパリのファッション界を体験し、巧みな演技でそれを表現してると感じました。
また、大きな夢を抱いた若者が、それをギリギリまで追いかけても心痛に見舞われる話は枚挙に暇がない。
それは、芸能界やスポーツ界のあらゆるレベルに当てはまるし、モデルという獰猛で有名な世界が、その冷酷な策略にはまった世間知らずの人々に何をしでかすかについて、何のためらいもなく描かれてました。
映画の素晴らしい使い方、手触り、予測不可能な、生き生きとした魅力。
編集やサウンドトラック、ミキシングとか、努力も素晴らしいですし、キャスティングにも脱帽です。
低予算の中、ストーリーやキャラに集中し、それが功を奏して面白い作品です。
マッツ・マシーセン監督の今作品は、モデル業界を決して好意的に描こうとはしてへんけど、エマを単にその中を旅する乗り物にするよりは、モデル業の実際の細部に注意が払われていることが巧い。
監督とパームは、エマを単純な言葉で描きすぎないように注意し、明らかに餌食になり、操られているように感じさせないようにしている。
彼女は、いわば自分の歯を持っているけど、明らかに大きな狩りをする準備ができていないし、向いていないみたいな感じ。
非常に説得力があり、ダークで覗き見のようなアプローチは、見る者に少し不快感を残すことを意図してる。
エマの心身が最も露わになる瞬間が、シャワーを浴びている少女のシーンが頻繁に出てくるのは偶然ちゃうやろな。
プロのモデルではないパームは、スーパーモデルちゅうペルソナの神話や固定観念を打ち破らなければならないという重荷を背負いながら、その属性の多くを体現している。
観てる側は、彼女だけでなく、発掘されようとするすべての若い女子に共感を覚えるように意図されてる。
エマは、自分の行動の意味や結果を理解するにはあまりにも若く未熟で、避けられると感じるものもあれば、人間性の最も基本的な衝動を本当に理解していないかのようなものもあり、自らの選択の多くによって堕落していくキャラであることは確かかな。
しかし、パームはこの役を見事に演じてました。
彼女の強靭な外見は常にもろく脆い殻であり、出会いのたびに亀裂の網を広げていく。
スクレインも良いが、彼の動機に心から賛同するには、彼のキャラは深みに欠けている。
しかし、スクレインが説得力を持つ一方で、シェイン・ホワイトは少し空白で、悲劇的なエマの物語を前進させ続けるために、我々が期待する特性のボックスをチェックするように任されています。
でもまぁ、パームの弱々しい演技とマッツ・マシーセンの確かな演出が、この作品を、観終わった後も心に残る体験にしてくれてました。
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