半兵衛

ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦の半兵衛のレビュー・感想・評価

2.9
レビューを通してこの映画の存在を教えてくれたトシオ88さんにまずお礼申し上げます。

007シリーズはスパイものとしても娯楽映画としても最高級の出来映えのため様々なパロディ作品が派生したが、その中でもかなりの際どさを感じるのがこの作品。何しろ本家007で初代ボンドを演じたショーン・コネリーの弟ニール・コネリーを主演に招き、そしてその役柄が「有名なスパイの弟」でしかも役名がコネリーとどうみても007人気にあやかろうとしているとしか見えない。そしてその他の主要キャスティングも007から集めてきているという用意周到っぷり。

ただ肝心の本編はテンポ良く悪の組織と主人公たちとの戦いを描いており、娯楽映画としてもそれなりの面白さを保っているので際もの感はさほどない。ただスパイもののはずなのに主人公の仲間が火炎放射機を使ったり、小道具が大雑把だったり、敵の組織が世界を股にかけている割にショボかったりとチープ感漂う内容になっている。あと本家に負けじと舞台となる国が幾つか変わるが、いずれもヨーロッパ近辺のため特にスケールの大きさを感じないのに苦笑。

それからこの映画の最大の問題は主人公のニール・コネリーが催眠術を得意としており、それを武器にして相手から情報を聞いたりしているのだがあまり盛り上がらないのだ。確かに手っ取り早い方法ではあるんだけれど、やはりスパイ映画は相手からいかに情報を聞き出すかを虚々実々様々な手口で駆け引きしつつやっていくほうが盛り上がっていくことを痛感。

主人公のニール・コネリーはイケメンではあるものの、兄貴にあったフェロモンを感じないため普通の二枚目という感じに。ただ兄より知性を感じるので学者という役どころはぴったりかなと。

この映画の最大の見所は本家でもヒロインを演じていたダニエラ・ビアンキの美貌で、その華やかな美しさには登場するたび目が釘付けになる。ちなみに彼女はこの映画の直後に引退したらしい。

007を意識している音楽も印象的だが、その音楽をエンニオ・モリコーネが担当していることに驚き。
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