サトミン

標的の島 風かたかのサトミンのレビュー・感想・評価

標的の島 風かたか(2017年製作の映画)
4.4
作品中盤、沖縄の神さまのお祭りシーン。
一般の人が神さまに質問する。
神さまの世界も自衛隊(武器や兵士)はあるのですか?
神さまは答える。
無いよ。私たちの世界は、どんな国の人もみんな兄弟だからさー。
ここで、涙腺が崩壊し、声が出てしまうのを抑えるのがやっとだった。
赤ちゃんの映像もときどき出てくる。
ヘリパッドやミサイル基地予定地も出てくる。
日本のほとんどの大人は、自分の都合ばかり考えていますし、マスメディアも仮想敵国作りのため国民をあおる映像を流す。
モノを言えない赤ちゃんの代わりに、責任ある思考を持ってもらいたい。
オープニングに古謝美佐子さん登場。
いつも素敵な歌を聴かせてくれます。
最後のシーン。
若い機動隊の顔が映される。
仕事として割りきっているのか、一人間としてそれで良いのか、心の声を聞きたい。
ドキュメンタリーだけど見やすかった。
上映後は、監督である三上智恵さんの1時間の講演会。
なめらかに聞きやすかったのは毎日放送のアナウンサーだったから。
沖縄の知らないことばかりの内容で、驚くことばかり。
そして、題名の島は、沖縄のことではなく、日本のことですよとのこと。
ゾッとします。
以下は上映後に購入したDVDから転記。
「標的の島」とは、沖縄のことではない。それは今あなたが暮らす日本列島のこと。
2016年6月19日、沖縄県那覇市。米軍族女性暴行殺人事件の被害者を追悼する県民大会で、稲嶺進名護市長は言った。
「我々は、また命を救う“風(かじ)かたか”になれなかった」。「風かたか」とは風よけ、防波堤のことだ。
沖縄県民の8割の反対を黙殺した辺野古の新基地建設、全国から1000人の機動隊を投入して高江で強行されるオスプレイのヘリパッド建設。
現場では多くの負傷者・逮捕者を出しながら、激しい抵抗が続く。さらに宮古島、石垣島でミサイル基地建設と自衛隊配備が進行していた。
なぜ今、先島諸島を軍事要塞化するのか?それは日本列島と南西諸島を防波堤として中国を軍事的に封じ込めるアメリカの戦略「エアシーバトル構想」の一環であり、日本を守るためではない。
基地があれば標的になる、軍隊は市民の命を守らない──沖縄戦で歴史が証明したことだ。だからこそ、この抵抗は止まない。
この国は、今、何を失おうとしているのか。映画は、伝えきれない現実を観るものに突きつける。
監督は『標的の村』『戦場ぬ止み』『沖縄スパイ戦史』の三上智恵。
※2019年8月25日(日)
第16回いわき平和のつどいの一環として上映。
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