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デ・パルマのfujisanのレビュー・感想・評価

デ・パルマ(2015年製作の映画)
3.3
名匠ブライアン・デ・パルマ監督が自身の過去作を振り返りながら言いたいことをぶちまけるドキュメンタリー。

先日上映されていた「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」のように関係者が語る監督像という構成ではなく、インタビューに答える形でデ・パルマ監督自身が語る構成で、最近NHKBSでも放送されていた「キューブリックが語るキューブリック」に近い形。

インタビュアーは現在「6月0日アイヒマンが処刑された日」が公開されているジェイク・パルトロー、そしてカメラを回していたのが「マリッジストーリー」や「フランシス・ハ」を監督、「バービー」の脚本を務めたノア・バームバック。

同じ映画監督が話を聞くのと、世代がかなり離れている(デ・パルマ監督は当時75歳)こともあり、デ・パルマ監督が嫌がることを聞けていないという点でドキュメンタリーとしては中立性が無いですが、逆にデ・パルマ監督が言いたい放題ぶちまけるという面白さがありました。

本人が信奉するアルフレッド・ヒッチコックの話に延々と脱線したり、ハリウッド流の映画作りへの不満、また、特定の脚本家への名指しでの不満など、そもそも監督のファンでなければ面白くない内容ではありました。

苦労してキャリアを積み、「アンタッチャブル」でブレイク、「ミッション・インポッシブル」でキャリアのピークを迎え、「ミッション・トゥ・マーズ」の興行的大失敗とおそらく敵が多かったこともあって主戦場から離れ、現在はヨーロッパをベースに活動をされているデ・パルマ監督。

近作はあまり評価が高くないですが、今はハリウッド映画の制約から逃れ、生き生きと映画づくりを続けておられるようです。



私がブライアン・デ・パルマ監督作品を知ったのは「アンタッチャブル」でした(「キャリー」は怖くて最後まで観れませんでした😓)その頃は監督が誰かなんて意識せず、ロバート・デ・ニーロの演技や有名な大階段のシーンなど、当時大ヒットした映画の内容に魅了されたことを覚えています。

監督の名前をしっかりと意識したのは、「ミッション・インポッシブル」の一作目。

個人的に、今もオールタイムベスト10に同作品を入れているほど、この作品が好きなのですが、監督の過去作品リストを見て、どうやら自分はブライアン・デ・パルマ監督作品が好きらしい、と認識したことを覚えています。

ドキュメンタリーの内容としても、特に後半の「アンタッチャブル」以降の映画制作の裏側の話はとても興味深い話ばかりで、とても面白かったです。

「アンタッチャブル」 … ケヴィン・コスナーを起用した背景、ロバート・デ・ニーロの大物っぷり、そして大階段のベビーカーのシーンのこと。

「カジュアリティーズ」 … マイケル・J・フォックスとショーン・ペンの仲、ジャングルでの撮影シーン。

「ミッション・インポッシブル」 … 脚本家が3人クレジットされている理由、複数あったらエンディングシーンの案、当時のトム・クルーズの扱われ方。

「ミッション・トゥ・マーズ」 … 興行的大失敗の理由😓

などなど、何らか好きな作品がある場合はそこの部分だけ観ても面白いかもしれません。

また、私は未見ですが、イラク戦争での米兵によるイラク人少女へのレイプ事件を描いた「リダクテッド 真実の価値」では、撮影終了後の現地での少女の身を危ぶんだ監督が『少女をアメリカへ連れて帰って学校に入れてあげた』とか、すごい話をしれっとしてましたが・・・🤔

才能あふれる巨匠ですが、周囲の方は大変そうですよね・・・😓




2023年 Mark!した映画:265本
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