いろどり

私たちはどこに行くの?のいろどりのレビュー・感想・評価

私たちはどこに行くの?(2011年製作の映画)
5.0
今回のイスラーム映画祭で1番観たかった作品。小さな村の宗教対立を通して、争いばかり始める男性の愚かさをユーモアたっぷりに描いた傑作。

宗教対立地域のレバノン。キリスト教とイスラム教の一触即発の緊張感は今も続いている。でも争っているのは男性だけ。これを小さな村の話に落とし込んで、男性たちが争わないように女性たちがあの手この手を尽くす。それが本当に面白い!争いを始めようとする男性たちの気を逸らすために、セクシーな踊り子たちを呼んでみたりする。思わずクスッとしてしまうものが多く、劇場からもクスクス笑いがあちこちから聞こえた。歌と笑いだけではなくシリアスもあり、銃撃や死が身近にあることを忘れさせない。

これは女性監督ならではの視点で痛快だった。暴力による争いを前にした世界では男性が前面に出てくる。そういった背景による男性社会だからこその話で、問題の本質を突いている(男性の本質も)。だからといって必要以上に男性を貶めたり、女性が卑屈になるような描写はないところが良い。女性たちは、平和に暮らすには銃は必要ないことを知っている。

メインキャストも務めるナディーン・ラバキー監督が美人で存在感抜群。「存在のない子供たち」にも出演していたとは気づかなかった。クリスチャンとムスリムの平和を目指し、道なき道を手探りで進む。パワフルな女性たちから愛と勇気をたくさんもらった。
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