くりふ

隣人のくりふのレビュー・感想・評価

隣人(1952年製作の映画)
4.0
【同胞に親切なれ】

ノーマン・マクラレンの反戦映画。後から知ったが、ユネスコの依頼で中国へとアニメ技術指導に行った矢先、朝鮮戦争が勃発したことが制作のきっかけとか。

それを知らずに見たが、明確に反戦映画だ。ラストに各国語で“隣人を愛せ”が表示される。

とはいえ説教くさいわけではなく、欲に溺れる人の可笑しさ、愚かさ、恐ろしさを笑いで包み刻んだ先で、メッセージに着地させるから自然と、心が頷いてしまうのだ。

仲良しシンメトリな隣人同士。互いの土地の、ちょうど中間に咲いた“美毒花”を見つけ、同じように酔ってゆくが…

ピクシレーションだからこその面白さに満ちていて、サイレント映画のコメディを、シュヴァンクマイエル味に寄せたような。両者の橋渡し的にも思えます。イチバンの衝撃は赤ちゃん虐待ショット。これこそ、この手法でないとできません!www

不思議なことに、当時本作は、アカデミー短編ドキュメンタリー賞を受賞しているそうな。

何にせよ、映画史に残る作品でしょう。見ておいて損ナシ。

<2023.8.13記>
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