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ライ麦畑で出会ったらのkuuのレビュー・感想・評価

ライ麦畑で出会ったら(2015年製作の映画)
3.8
『ライ麦畑で出会ったら』
原題Coming Through the Rye.
映倫区分PG12.
製作年2015年。上映時間97分。

1951年の発売以来、青春小説の名作として読み継がれているJ・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に魅了された青年の成長を描いた青春映画。
ジェイミー役をアレックス・ウルフ、サリンジャー役をクリス・クーパー、ディーディー役をステファニア・オーウェンがそれぞれ演じる。

69年、ペンシルベニア州。
級友たちともなじめずに孤独な高校生活を送っているジェイミーは、『ライ麦畑でつかまえて』に感銘を受け、この小説を演劇作品として脚色することを思いつく。
しかし、そのためには原作者であるサリンジャーの許可が必要であることを知る。
隠遁生活をするサリンジャーに連絡を取ることは容易なことではなく、ジェイミーは演劇サークルで出会ったディーディーとサリンジャー探しの旅に出ることを決意する。。。

今作品は、現代アメリカの伝説的青春小説であるJ・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』 (1951年)へのオマージュ、若しくはラブレターっていってもいいかな。
『ライ麦畑でつかまえて』は主人公が さっそうと活躍する青春小説ではない。
その逆で、主人公のホールデン・コールフィールドは自意識過剰で不器用で世間知らずの高校生。
しかし、その挫折体験と鋭い大人社会批判が時代を超え若者たちの共感を呼んできた。
監督も感動した一人やったんやろな。高校時代に 『ライ麦畑でつかまえて』を舞台化する許可を得ようと著者のサリンジャーとの接触を試みた。
しかし、サリンジャーは世間の過剰な関心や詮索を逃れて、隠遁生活に入っていた。
監督は誰にも無理といわれながら、トライを繰り返し、サリンジャーに会うことに成功する。
監督は、自分がハーバード大学に入学できたのは、謎の場所で謎の生活を送っていたサリンジャーを見つけて、話をしたという経験の珍しさのおかげといっている。
今作品は、ある意味、その実体験に基づく自伝的なものであるかな。
余談ながら、『ライ麦畑でつかまえて』の舞台化、映画化の権利は、スティーブン・スピルバーグをはじめ多くの人が獲得しようとしたそうやけつあだ、サリンジャーはかたくなに拒み続けた。
しかし、サリンジャーは、自分がホールデン・コールフィールドを演じる舞台を考えていたが、実現しなかった。サリンジャーは2010年に亡くなり、死後の権利の買い取りを検討したこともあったが、現在もその動きはないって残念なことっすわ。
個人的に求めてるんやとは思いますが、物語、つながり、温かさ、ユーモアが、今作品には感じられ、それは魅力的で、面白く、痛烈で、美しいものでした。
また、登場人物、風景、ストーリー、俳優を楽しみましたし、面白い瞬間、痛快な瞬間、サスペンスフルな瞬間、もやもやする瞬間がある善き作品でした。
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