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ピーターパンの公式のkazataのレビュー・感想・評価

ピーターパンの公式(2005年製作の映画)
3.5
ドラマ『アチアラの秘密』を見始めたら久々にオン・ジュワンを見て懐かしくなったので過去作を振り返りウォッチ&レビュー。

母子家庭で育った男子高校生ハンスは水泳部の期待のエースだったけど、母親が自殺未遂で脳死状態になってしまったことで経済的に困窮&看病で疲弊してしまい、自身の将来も見出せないことから水泳も学校も辞めて全てを投げ出そうとするも現実世界から逃れることはできなくて……って感じの物語。
だけど、ピーター・パン好きな自分としては「ハンスが大人になりたくてもなれずに(最終的には大人になることを拒否して)ピーターパンとなってネバーランドに行っちゃう話」と受け止めました!
(そもそもピーター・パンって超絶悲しい物語だと思っているので…)

昔見た印象だと「行き場をなくした母親への愛と思春期の悶々とした性衝動が絡まり合ってコントロール不能で暴発しちゃう」って感じだったけど、見返してみたらハンスが出会う主要女子キャラ3人の役割もきちんと計算されていて効果的だし、ハンスの心情や物事の経緯がちゃんと"絵で表現されている"ことにも気づいて、1回目に見た時よりもしみじみと深く感動できました。
(隣家の音楽教師がウェンディ、音楽教師の義理の娘がティンカー・ベルに当たるのかな…)
(心情風景に寄り添ったピアノ曲も良き)


(15年前の映画でネタバレを気にするのも無粋な気もしつつ…以下、ラストシーンの解釈について触れます↓)


「セリフによる説明等もないラスト数分間が意味不明」とか、中には「絶望の淵にいたハンスが再生して大人になった」みたいなハッピーエンドに受け止める人もいるみたいですが……"ハンスは車に撥ねられて死亡→その後の一連のカットは霊魂状態"ってことでしょう。
(同様に目を覚ましたように見えた母親も非現実だと思う…)
(ハンスの全力疾走は『大人は判ってくれない』をやろうとしたんじゃないかな)
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