ぶみ

世界でいちばん美しい村のぶみのレビュー・感想・評価

世界でいちばん美しい村(2016年製作の映画)
3.0
絶望の先に本当の希望があった。

石川梵監督によるドキュメンタリー。
2015年4月、多くの犠牲者を出したネパール大地震直後、ヒマラヤ奥地にあるラプラック村の人々を追う。
放牧を生業とする一家、村に一人しかいない看護師を中心として、倍賞美津子のナレーションをバックに震災直後の人々の日常が映し出され、それはまさに人間の息遣いが聞こえてくるもの。
その姿は、東日本大震災を始めとした自然災害で被災された人々の背中と重なってくるが、その心境は被災していない私にとっては、どう頑張っても推し量れないものであり、こういった作品から推測するしか手はなく、それだけでも観る価値あり。
映画としては、プリミティブな生活と、ドローンを駆使した最先端の映像とのギャップが凄まじいのだが、ドラマティックな展開は皆無で、淡々とかつ同じようなシーンが多いため、特に後半は飽きてきてしまったのが正直なところ。
そうは言っても、文化、自然、宗教等、ありとあらゆる垣根を越えて人間の生きる力を感じることができるとともに、美しい夜空が印象的な一作。

神も仏もあるものか。
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