天豆てんまめ

SENIOR MANの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

SENIOR MAN(2017年製作の映画)
2.8
文化庁の日本映画振興事業の一環として始まったNDJC若手映画制作育成プロジェクトは、もう11年目で、現在PFFを凌ぐ若手監督輩出の登竜門になっていると思う。昨年は何といっても「湯を沸かすほど熱い愛」の中野量太監督が出身者であるし、一昨年には「トイレのピエタ」の松永大司監督
もそうである。で、昨日、今年選ばれた5作品の合評上映会に伺った。
全て30分、撮影は35㎜フィルム、仕上げはデジタル、DCP素材での上映。
場所は例年のように丸の内東映。

一本目は「SENIOR MAN」
身寄りのない80歳の老人が世間の悪を正すために深夜のパトロールを始めるという話。老人ホームでの会話、何気ない交流がうまく描けているけれど、作品の落としどころがすぐわかり、意外性に欠けた。
主演の老人の性格の真面目さと、剣道胴着にサングラスで夜パトロールというユーモアにアンマッチ感を感じたが、ずっと人生を諦めていた彼が親友の死をきっかけに感情を爆発させるシーンはぐっと引き込まれる。

若い監督がなぜこの世代の題材を選んだのか、とも思ったが、作劇としてしっかり見せ切る力があると思う。だからこそ、より強い共振性のある題材の方がデビュー作には突き抜けるのではないか、と思う。