【韓国にやってきた男と韓流ファンの女(共にタイ人)が 成り行きでソウル旅行の道連れに】

先日｢タイとかフィリピン系定番のドタバタコメディってどんな雰囲気？｣と友人に聞かれ｢とにかくナンセンスでおバカ｣としか言えなかった自分の語彙力に落ち込んだので考えてみた

トーストくわえた女が出会い頭に男とぶつかるような能天気なノリが最後まで続くイメージ

完全に言い得ているとは言えないけど､遠からずじゃない？
登場必須のオカマちゃんが今回は出てこない

タイのコメディは好きだけど 命を軽視するジョークでドン引き､この男も女も同罪

一応ラストまで観たけど､本作はNG

それぞれ訳あって単身で韓国を訪れたタイの男女の、旅先でのひとときのロマンスとその行方を描いた、バンジョン・ピサンタナクーンの単独長編監督デビュー作となるロマンティック・コメディ映画。タイ国内では、2010年の年間興行成績1位の大ヒットとなった作品。タイのベストセラー小説『Two Shadows in Korea』（Songkalot Bangyikhun著）の翻案であり、主演のチャンタウィット・タナセーウィーが脚本も担当している。

最近になって、JAIHO や U-NEXT でタイの映画が大量に配信されているのが目に留まったのが、本作を鑑賞するきっかけ。これらのほとんどの作品は、タイ最大のメディア・エンタメ企業GMMグラミー傘下の映画会社GDH559（やその前身であるGTH(GMM Tai Hub)）が制作している。GDH559は今やタイ最大のヒットメーカーとなっていて、ここの作品であるという理由だけで客が入るそうである。ちょっと前に日本でも公開されて話題になった『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』も、GDH559作品である。

タイの年間興行成績1位という触れ込みほどではないにしても、コメディ感が満載のオーソドックスで良質なラブコメなので、（私のように）ラブコメ好きならば十分に楽しめる。ただし途中がやや間延びする感じなので、1時間半くらいにまとめれば、もっと良作になったと思う。ストーリーは、韓国のソウルで出会ってお互いの本名も知らないままの男女が、おのおのの恋愛に問題を抱えていることから、旅の恥は掻き捨てではないけれど急接近するというもの。現代の日本映画ではちょっと考えられないが、ラジオ番組が重要な小道具として使われている。ちなみに、ラジオ番組は台湾映画でもちょくちょく使われていたりする。

主人公の男性ダーンを演じたチャンタウィット・タナセーウィーにとって、本作が出世作となる。目のあたりが長谷部誠にどことなく似ている。一方、主人公の女性メイを演じたヌンティダー・ソーポンにとっても本作が映画デビュー作。美人というほどではないが、とても愛嬌があって可愛らしい。

個人的には、韓流ファンの主人公の女性メイが『冬のソナタ』や『コーヒープリンス1号店』などのロケ地を巡る（しかもヨン様のそれほどそっくりではないそっくりさんまで登場する）という設定に、タイでも韓流ブームなのかと妙に感心してしまった。日本だけではなく他のアジアの多くの人々をこれだけ惹きつけるのだから、韓国ドラマには何か特別なものがあるのだろう。日本で冬ソナが流行したときに、冬ソナ以前の韓国ドラマもよく放送されていたが、それらのドラマは日本よりも10年は遅れていると感じる代物だった。それが今や映画、ドラマ、音楽などエンタメすべてにおいて韓国は日本を抜き去り、日本にとって韓国は遠い彼方の存在になってしまったのは、勢いのある日本を知っている者としてはちょっと寂しい。

メインの女性がかわいくて性格も良くて、だからこそ余計相手の男性のどこがいいのか全くわからなかった