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ナショナル・シアター・ライヴ 2017 「誰もいない国」のlololoのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ヨレヨレスーツのイアン・マッケランasスプーナーの方が、最初はちょっとヤベェノリのじいちゃんなのかなって思ったら、途中からパトリック・スチュワートasハーストの様子がおかしくなって……。
2人の関係性も二転三転し、途中から出てきた用心棒とも秘書とも見える2人組もなんだか怪しいし……。

夢が現実か気遣いか本音か、それらが全部ないまぜになっていくのが不気味で不穏で知的で心地よい。4人だけ、しかも舞台は同じ部屋だけなのに、部屋の外の世界まで見えるようか気がしたのは台詞回しの妙だったり、キャラクターのリアリティなんだろうな。

もしかしてハーストは認知症なのかなと思ってたら、上演後のQ&Aでそういう言及がされててなるほどなぁと。認知症の症状に、口数が減るってのがあった気がするけど、最初のハーストはその状態にあったのかな(その後、よく喋ってスプーナーが圧倒される場面もあったし)。

いいスーツを着たハーストが、明らかに友達ではないスプーナーと思い出を語り続ける場面は滑稽みと切なさがあった。それにしてもパトリック・スチュワート、あのスーツの着こなし超かっこよかったな。コーヒー溢してたけどスーツは大丈夫だったんだろうか。大丈夫じゃないか。

単なるおじいちゃんのお喋りかと思いきや、2人の状況が明確になり、人が加わり……とスリリングな展開ながらも、セリフが詩的なものも多くて美しかった。ちょっと眠くなったけど、なんやかんやで面白かったな。渋いナショナルシアターの演目でした。
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