キッチー

ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリーのキッチーのレビュー・感想・評価

4.5
これは洋画ファンなら観て損はない面白いドキュメンタリーでした。

ストーリーボード(絵コンテ)を作成するハロルド・ミッチェルソンは有名な作品に多く関わりながらも、その仕事の位置付けが不明瞭であったことから、エンドロールにも名前が乗らず、表に出てくることはほとんどない。しかし、彼の絵コンテが監督や撮影監督に与えた影響は大きく、絵コンテの構図や状況説明、美術など、そのまま採用されることも少なくなかったようです。

元空軍のパイロットだった彼の空間の捉え方は、特に優れ、紹介されていた絵コンテも素晴らしいものでした。

彼が関わった映画には、ヒッチコックの『鳥』やマイク・ニコルズの『卒業』、他にも『十戒』、『ウエストサイド物語』、『ブレードランナー』、『スター・トレック』、『フルメタル・ジャケット』、『レインマン』...と、沢山あり、有名なものが多いのにも驚きました。また、フランシス・コッポラやデビット・リンチとも交流があったようです。

一方、彼の奥さんのリリアン・ミッチェルソンは妊娠して会社を辞めさせられた後、子育てに専念していましたが、夫の仕事のリサーチを手伝うことになったのをきっかけに映画リサーチの仕事で頭角を現すようになります。

そんな二人は職業人以上に家庭人。色々な記念日にはハロルドがリリアンへ自作の詩をプレゼントするところは素敵でした。
「夫婦として成長するためには、(子育ても含めて)経験を分かち合う必要がある」
子供も3人育てていますし、この夫婦は家庭でも仕事でも最高のパートナー。なにより二人とも才能に恵まれていて羨ましくなりますね。

そして、自分たちのした仕事が後世に残っていくのも素敵です。
彼らが関わった映画は沢山あるので、これから、観るのが楽しみになりました。
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