EDDIE

孤狼の血のEDDIEのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.4
昭和のにおいが滾る任侠映画ここにあり。役所広司と松坂桃李の熱演と師弟関係が熱すぎるぜ!

U-NEXTで独占配信中の本作。満を持して遂に鑑賞しました。
今年2019年に白石和彌監督作品を2つ鑑賞し、完全に白石ファンになりつつある私。本作ではさらに度肝を抜かれました。

バイオレンスさではこれまで観てきた『凪待ち』『ひとよ』とは比較にならないぐらい凄いです。
そして本作をわざわざ日本のトップ監督になりつつある白石監督を配してまで世に輩出した理由です。
舞台は昭和63年の広島・呉原(確実に呉市がモデルですね)。昭和らしい懐かしいナレーションもあり、かつての任侠映画を匂わせますが、コンプライアンスうるさいこの時代になぜこうまでも熱いヤクザ者をやるのかってところです。
そもそもが本作の主人公である役所広司演じる大上も、松坂桃李演じる日岡もどちらも警察なんですね。マル暴と呼ばれる暴力団を特に取り締まる専門の部署。
最初は暴力団さながらにやりたい放題な大上のやり方に反発する広島大出のエリート日岡ですが、彼らの絆を深めていく模様を描くヒューマンドラマにも仕上がっているんですね。
だから、終盤の展開は正直予想外すぎて呆気にとられてしまいましたが、マル暴の刑事らしく覚醒していく日岡を見てかなり感動を覚えました。

まぁ私が勝手にヒューマンドラマと言っていますけど、バイオレンス加減は容赦ないので耐性ない方はきついです。
ただ2018年公開当時は私まだ白石作品をきちんと観たことがなかったので、本作を劇場で観なかったことを今更ながら大後悔しています。それぐらい自分好みな内容でした。

主役2人はさることながら、白石組常連の音尾琢真も勿論出ていましたし、いやぁあの真珠のシーンは痛々しかったなぁ。あと私の大好きな滝藤賢一もかなり重要な役回り。彼らしい怪演は鳴りを潜めていましたが、彼が出ていると勝手にテンション上がる私です。
そして、江口洋介と竹野内豊の共演ってのが熱い!彼らが民放ドラマを賑わしていた青春時代だったので、彼らの共演に胸が滾りました。思いつく限りでも『人生の約束』ぐらいじゃないですか?彼らの共演って。ヤクザの役がめちゃくちゃハマってましたね。竹野内豊は少し優しさがまだ滲んでいた感じがありましたが。
真木よう子は説明ゼリフですべて解決ってところが演出として気に食わない点もありましたが、セクシーな胸元にドキドキさせてもらいました。本作ではいっそ脱いでほしかった(男の戯言です)。
ピエール瀧や石橋蓮司とヤクザ映画に欠かせないような布陣も大活躍。
石橋蓮司のラストのシーンはかなり脳裏に焼き付きました。

まだ白石作品は3つ目の鑑賞ですが、かなり監督作と相性のいい私。完全に白石組の一員の気分で、贔屓目も多少入ってしまっているかもしれませんが、過去作も観ていきたいし、今後の作品も楽しみで仕方ありません。
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