桃色

ワン・デイ 悲しみが消えるまでの桃色のレビュー・感想・評価

3.8
「私のことを忘れないで」

忘れてほしくないから素敵な思い出だけ残したい。
去りゆく人が残す人に精一杯の愛情を贈るストーリー。
妻の残された暗号のような愛情を生霊さんと一緒に紐解いていきます。
最後に向けてじっくりじっくり…

自分の人生を悔やんでるから魂が彷徨うんじゃないってこのお話は言ってるような。
突然、自分にだけ見える生霊の女性。
主人公はその女性が植物状態になった事故の処理を保険会社の調査員として解決をしようとしていきます。
明るい生霊さんも何故だか詳細は語らず、ただ飄々とその生活を楽しんでいるようでした。
妻の病気に寄り添いながら突然の彼女の死にしっかり向き合えない保険調査員をこれまた大好きなナムギルさんが相変わらず名演なさっています。
他の脇の方々も笑わせながら明るくストーリーは進んでいくんですけど…

最初に書いたけど、去りゆく人が残す人にどういう自分を覚えていて欲しいのか。
「恨みなんて全くないのよ、あなたを愛してます」
そういうメッセージがこの映画のから溢れています。
明るかった視覚障害者の生霊女性も、自分を捨てた母に愛情しか残したくないのね。
残される母の苦悩を終わらせるために主人公に約束させました。

最後、亡き妻の愛情を紐解いて心が救われた主人公が、その約束を果たして生霊だった女性の人生に幕を引く。
散歩両論のこの最後ですが、私はすっと入ってきましたよ。

ラブストーリーって書いてあったからこの生霊さんとのものかとずっと期待して見てきたけど、あらま、全然違いました。
でもね、愛情物語であることは間違いなし。
とっても素敵な映画の時間でしたね。
桃色

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