作者はよっぽど記憶に縛られている人なんだろうなぁ。記憶のせいで生きるのがしんどい人はこの世に山ほどいるだろうし、そのテーマは私の興味をそそった。主要人物の中で犯人を見つけるために一人ずつコンタクトを取ったり、足取りを辿る方法などは、ミステリータッチで面白い。最後に紐解かれる事実などどんでん返しっぽいものを用意されているが、そういうミステリー謎解き的なものがこの映画の見どころではないと感じた。一番よかったのは、残されるおばさんの静かなキャラクター。どうやって、過去と折り合って今を生きていくのか。
SF的なものを期待していたけど、それに関しては肩透かしなところがあるし、これまで記憶を画面に映し出して観れるというお話はたくさん作られてきたので、何か新鮮なものがあるとは思えない。すごい装置があるのに、こじんまりした話で終わっている（それがこのお話の味でもあるのかな）。
