佐藤克巳

五人の斥候兵の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

五人の斥候兵(1938年製作の映画)
5.0
この段階では本格的戦争ではない。支那事変に発展していく紛争段階だ。済南事件等で日本権益が脅かされて、支那大陸における日本人居留民保護を目的とした日華利害対立の争いが真実。田坂具隆監督は、限定された極地戦に送りだされた五人の斥候兵の勇敢さや、部隊長小杉勇、軍曹見明凡太郎を中心とした隊の結束力、規律、及び戦友の友情を、平和ボケした内地の一般人にセミドキュメント風に告発した人間ドラマ傑作に仕上げた。本隊から戻った伝令が煙草を配り、死んでからではバットは吸えないと、隊員一斉に煙草を燻らすシーンや、斥候兵が葦を分け入り河に侵入する後からカメラが追走する迫力ある画像には目を見張る新鮮さ。イタリアンリアリズムも、この映画のパクリと思える。
佐藤克巳

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