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AGAVE 命の葉のesのレビュー・感想・評価

AGAVE 命の葉(2014年製作の映画)
3.8
リュウゼツランと深い関わりを持つメソアメリカの諸文明の歴史について。

石川県の郷土料理、フグの卵巣の糠漬けを思い出すアガベの除毒。動物の細胞を壊すサポニンを含むリュウゼツランを無毒化するには、48時間蒸して加水分解を起こしサポニンのステロイドを糖から分離させる。絶対に48時間経つ前に食して犠牲になった人がいそうな製法。

余す所なく使い道があるから崇拝の対象と結びついたのか、超自然的なものから与えられた植物なのか。もしかしたら後者かもしれないと思えるくらいに進化の過程がSF世界の未来の人類的で面白い。有性生殖ができなくなり次第に無性生殖(クローン)のみになり多様性を失い滅びていく種族。かなり想像意欲を掻き立てる生き物アガベ。

征服者の宗教(キリスト教)と混じり合っていった先住民の宗教儀式に関してはもう少し征服者に対する批判的視点が合っても良かった気がする。キリスト教圏の人が作ったからかもしれないが些か楽観的過ぎる。
16世紀の西洋社会の侵略に始まり、近代化が現在進行形で現地の人々を苦しめているという事実が淡々と語られるのが印象的だった。
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