わたがし

ラプラスの魔女のわたがしのレビュー・感想・評価

ラプラスの魔女(2018年製作の映画)
5.0
 今、日本映画界で1番ミステリという分野に興味なそうな監督、三池崇史の撮るミステリ大作!!しかも原作は東野圭吾!!という企画がまずパワーありすぎて笑う。これからもプロデューサー方々はどんどん三池監督にそういう無茶振りをしていってほしい。
 原作は読んでないんで原作はどうなのか知らないけど、科学とかよくわかんない人にとっての「科学」がすごく丁寧に描かれていて良かった。東野圭吾は理系の頭でエセ科学を描くけど、三池崇史は文系の頭でエセ科学を語る。ファンタジーの域からギリ脱しないようにしながら。
 そして、ギリSFの域をキープしながらストーリーは徐々に芸術家の話になっていって、最終的には「なぜ人間には科学が必要なのか」みたいな(本来、理系側の人間が語るべき)ことを芸術的に描き切るという。そこまでの過程とかは全然面白くないんだけど、辿り着くところはやっぱり僕らの大好きな三池崇史だなという安心感。どんなに自分と感覚的に接点の少ない商業映画をやったって魂だけは絶対に売らないという生き様のどうしようもないかっこ良さ。
 劇中の「人間は皆、原子だ」という台詞に集約される「あんまり自分を偉大な人間だと思いこむもんじゃない」的思想も、そういうことを普段から思っていて、運命的に来た仕事を選ばずにこなしていく三池崇史監督が撮るからこその輝きがあるというか。すごい切実に感じた。
 クライマックスで一旦わざと映画の体裁を壊すのも、結局自分が一番偉いと思っているような同業者(映画監督)の作風をいびってるニュアンスもあるのかなと考えたりした。櫻井翔はずっとテラフォーマーズの伊藤英明みたいな芝居してた。
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