アズマロルヴァケル

リバーズ・エッジのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
3.5
退廃的な青春映画


・感想

結論を言うと、原作未読で観た私にとってはあまりにも衝撃的な内容で良い意味で深い余韻が残ったし、良くも悪くも舐めてたなぁと思った映画ではありました。

まず、映画が全体的に生々しい残酷描写とセックスシーンの連続でそれだけで衝撃を受けました。土井志央梨演じるルミと上杉柊平演じる観音崎の過激な濡れ場もさることながら、二階堂ふみ演じるハルナのヌードも凄く衝撃的。原作にもこのような描写はあるから忠実にやってると思うけど、良い意味で大胆に見せてくれるし、日活ロマンボルノ『ジムノペディに乱れる』で培ったものがあるのではないかと思ってしまう。

また、前半は青春映画らしく展開していくのに後半はちょっとサイコホラーになっていくのも良かった。ルミの姉を演じた富山えり子は終盤でこれでもかとルミに恐ろしい顔を見せつけるので、製作者側はよくこの役者さんをキャスティングしたなぁとは思うし、田島カンナ役の森川葵も静かに秘めている不気味さや狂気が徐々に滲み出ている様も流石。登場人物6人やタカハシくんやよっちゃんといったサブキャラもそうですが、キャスティングが実に上手くいっていると思った。

ただ、映画を何度も何度も見返してしまって思うことは良作である一方、凄くメッセージ性や表現力が他人によっては分かりにくく、前に観た漫画原作である『ミスミソウ』同様原作を読んだ方がもっと楽しめそうな映画だと思った。勿論映画の感想は観た人の考え方次第だが、リアリティ路線で面白かったので私は個人的にこの映画は好きだと思っています。

私自身は物語に挿入されるインタビューシーンはいる方だと思う。物語に深入りできる点やキャラクター描写に説得力が増すし、特に田島カンナのインタビューシーンは終盤に挿入されるのですが、衝撃的なシーンのあとに入るので良い意味で複雑な気持ちになるし、切なくはなった。そのあとのタカハシくんが釣りをしながら友人に話すシーンもある意味あのシーンを引き立たせるし、妙にやるせなさを感じさせました。