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アグネスのdm10foreverのレビュー・感想・評価

アグネス(2014年製作の映画)
3.6
【芽生え】

かわええ・・・。
大好きなお兄ちゃんのためにぎこちない手つきでせっせとココアを作ってあげる6歳のアグネス。
それは「大好きなお兄ちゃんに褒めてほしいから。」「大好きな兄ちゃんと一緒に遊びたいから。」

でも、お兄ちゃんは構ってくれない。
何故なら今日は家に彼女を連れて来る日だから。

何とかお兄ちゃんの気を引こうと可愛いスカートに履き替える。
そわそわ・・・絵本を読んでも頭に入ってこない・・・。

そこにお兄ちゃんが彼女のヨハンナを連れて帰ってくる。
「こんにちわ」
「・・・ハーイ・・・・・」
そっけない返事しかできないアグネス。
だってお兄ちゃんは彼女に夢中なんだもん。

ヨハンナは優しそうなお姉さん。
でもそんな事は関係ない。
お兄ちゃんは「私のお兄ちゃん」だから。

気を引きたくて、精一杯の抵抗は「ココアのビンを渡さないこと」。

なんか、可愛いね~。
ちょっと荒んだ心がほっこりしたよ。

物語自体はそれほど起伏やどんでん返しがある類ではなく、日常の1ページを切り取っただけの緩やかな映像なんだけど、アグネスの表情は見ていても飽きない。

ちっちゃい頃は全てが自分中心だった世界から、ちょっとずつ「他にも中心人物がいる」ということを知って、そうやって他人という存在が自分の中でちょっとずつ大きくなったり小さくなったり、「家族」と「他人」の距離感を知ったり、「友達」と「ただの近所の子」の違いを認識したり・・・。
そういう中で「大好きなもの」「誰にも奪われたくないもの」と、それを失うときの悲しさとかも知っていく。

大人になる近道なんかなくって、実はお父さんのお父さんの、そのまたお父さんだって、みんな似たような道を歩いてきたんだよ。

ラストでお兄ちゃんと一緒にベッドに横になるアグネスの安心したような表情に「よかったね」と声をかけたくなるdmでした。






~~実は久しぶりのフィルマレビューでした。
ショート作品なんかもチラチラと観てはいましたが、なかなか心が追いつかなくて・・・・。

もう、どうもこうも・・・
病院で働いている以上「今こそ踏ん張り時」だとは頭ではわかっているのですが、心が追いつきません。
正直、何度か折れました・・・。

うちの病院は新型コロナ治療の最先端ではなく、どちらかと言えば後方支援タイプの医療機関ではありますが、それでも何度も限界スレスレまで行きました。
昨日あたりからやっと「夜明け」が見えてきて、いまこうやってレビュー書いていますが、本当に「映画どころじゃない」というのがここ2~3週間の正直な気持ちでした。

僕自身の現場感覚として、去年までの感染状況とは明らかに違います。何かがおかしいです。

「衛生大国」と言われる日本人の衛生観念は本当に素晴らしいんですよ。
実際に今シーズンのインフルエンザの報告は殆どありませんでした。
つまり例年以上に皆さんが消毒や咳エチケットに気をつけた結果、インフルに誰もかからなかったんです。
だからこそです。
それだけ衛生に気をつけていても新型コロナが全く防げていないという状況は医療従事者からすると「恐怖」以外何者でもありません。
だって、それだけ気をつけている日本人ですら防げないんですよ。
他の国で防げるわけがない。

「自分はかからないだろう・・・」は全く通用しません。
昨日まで何ともなかった人が翌日高熱で倒れます。若くても関係ありません。
うちの受付の女の子(19歳)も39度の熱でダウンしました。
「ワクチン神話」もあてにしないで下さい。
重症化は幾分防げたとしても、コロナに感染しないわけではありません。

僕もドアノブや冷蔵庫の取っ手、水道の蛇口など「他人との共有部分」を触るたびに手指のアルコール消毒をしています。全然オーバーでもなんでもなく、本当に。

ただ、暗い話しばかりでもありません。
保健所の方とも頻繁に話す機会がありますが、だいぶコロナの性質や感染のメカニズムも見えてきていますし、世界の状況もこれからよい方向に向かうことは十分可能なんです。
もうちょっとの辛抱です。みなさん、頑張りましょう!

色々と愚痴ってしまってゴメンなさい。

本当に、本当に、皆さんお体には気をつけてくださいね。
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