映画の味方あっつマン

あゝ、荒野 後篇の映画の味方あっつマンのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
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2部作の後編。ボクシングのプロデビュー戦を終え、トレーニングに励む毎日を送る新次と建二。宿敵である裕二との対戦に闘志を燃やす新次は、自分の父親の死にまつわる建二との宿命を知ってしまう——。



壮、絶…。

新次と健二、前編・後編あわせて5時間の長尺で、2人の人生と苦悩が丁寧に描かれているからこそ、リングの上で殴り合っているだけで、心が激しく揺さぶられる。

強くなりたい、勝ちたいという闘争心は純粋で、美しい物なのかもしれない。しかし、純粋であるが故に、厄介だ。行き着く先は、劇中にも掛け声として出てきた「殺せー!殺せー!」なのだから。

最後の決着は賛否は別れるだろうが、とにかく壮絶としか言いようがない。余韻がズズズンと心に重くのしかかってくる。

後編では、自殺研究会のパートが前編以上に薄かった。重要な役割はあるんだけど、あくまで役割止まりだった。個の生きがいとしてのボクシングと、社会問題を対比させたいのかと思っていたのだが、そこまで機能していなかった印象。そういえば、座間市の事件が公開時期とタイムリーだった。ほんと、現実は映画より恐ろしい…。

前編に続き役者の演技は素晴らしく、見応え十分で、前後編の5時間は長いと感じなかった。