ひろぽん

検察側の罪人のひろぽんのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
3.7
都内で起きた殺人事件の捜査を巡って、かつての未解決事件の重要参考人である松倉を執拗に追い詰めるエリート検事である最上とその捜査方針に疑問を抱く若手検事の沖野が激突し互いの正義がぶつかり合う2人の検事のミステリー作品。


木村拓哉と二宮和也というジャニーズでも人気を誇る一時代を築いた2人が主演の作品だが、ジャニーズとは思えないレベルの迫真の演技で両者とも素晴らしい。ジャニーズトップ同士の正義VS正義の構図が最高!


特に二宮和也演じる沖野の取り調べでの尋問シーンは恐ろしく迫力のある圧巻の演技でこの作品の1番の見所。ここのシーンを観るだけでも価値のある名場面。

冒頭の木村拓哉演じる最上の“自分のストーリーに固執する検事は必ず犯罪者に堕ちる”という言葉がこの作品を体現している。

自分が尊敬してやまない憧れで優秀な上司の最上検事を疑わなければならないという沖野の葛藤もしっかり表現されていて良かった。

ラストシーンは余白の残る演出でモヤモヤした気持ちで終わるからもっとパンチのある終わり方が良かった。

主演2人を始め脇役を固める俳優陣の演技は皆素晴らしいのだが、根本的にこの作品には尺が足りてないように感じる。
過去の未解決事件の関係はあれど検事である最上がなぜそこまで今回の事件に執着するのか、政治汚職、戦争、宗教、暴露本執筆、沖野と橘のベッドシーン、橘の過去など風呂敷を広げすぎて登場人物の感情の深掘りがされてない事や説明不足な描写が多々あって回収しきれず疑問が残るシーンが多い。

原作を読めば補完して理解できるのかもしれないが、原作を知らない人からすると疑問を感じる点が多々ある。

原作を映像にするとどうしても間に介入する人の解釈やカットが入ってしまうからしょうがないのかもしれないが…

映画なら前編後編にするかドラマにしていたら面白くて本当にいい作品になっていたと思うから少し残念な作品。木村拓哉と二宮和也の演技を楽しむ作品としてはイイかもね。
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