サッチャー政権下のロンドン、
イーストエンドの吹き溜まりの様な住宅地で暮らすポロック一家の日常を描いている。
不況で失業者が溢れかえり、
労働者階級のポロック家も父親、息子二人共が失業保険の手続きをする家族。
登場する人が皆、心が荒んでいて誰にも笑顔がない。
冒頭から家族がずっとイライラしている、汚い言葉で息子たちを皮肉る母、
父親に反抗する長男、
次男は学習障害がある様で、身体は大人だが知能が小学生くらいだろうか?
兄は常に弟を馬鹿にして、
両親も同じく、息子たちに“言葉のDV“を浴びせまくり、
全く救いようがなさ過ぎて哀れんでしまうよ〜
息子たちが大人になるまでも両親はこんなだったのか?
私には笑えないよ。
お金が有る無しの問題だけでは無いような気がする。
失業保険も入り、住む家もあるのだから。
母親の妹夫婦は学歴もあり高収入な家庭、しかし子供はおらず夫婦中はイマイチで、とても幸せに見えない。
この作品には誰も幸せな人が出て来ない。
何を見せつけられているの?
あまりに酷いシーンの連続なので、これは笑う所?コメディ?
と思わなければ最後まで観ていられなかった。
しかしキャストは素晴らしく、
ティム・ロス、
ゲイリー・オールドマン、
フィル・ダニエルズが共に20代で若い時代の作品だけど、
それぞれ個性的な役を見事に演じていて、さすがだなって!
演技が見事過ぎて、物凄く不快な気持ちになったよ、笑
BGMは殆どなくて、時折入るマンドリン?の音色が美しくとても印象的だった。
鑑賞後、少し考えてみた、
もしかして、“世の中にはこんな家族は存在しない"と私が勝手に思っているんだ、と、思った。
貧困や、社会問題に振り回され踠いても、どうにもらない諦めがこんな人格に変えてしまったのかなぁ〜って。
両親だから子供に優しいとは限らない、
障がいがある人には、皆んなが優しいとは限らない、
一人くらい優しい人がいるとは限らない、
って事か、と思った。
そう考えた時、なんて深い作品なんだ、私はなんて甘い人間なんだと思い知らされた作品でした。
でも、やっぱり、キツいっす!
この作品。