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マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴーのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.9
【音楽映画のススメ】
~ 音楽と映像の素晴らしき
   コラボレーション

◆作品名:
 マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー
(2018)
・作品のジャンル : ミュージカル
・楽曲のジャンル : ABBAメドレー

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ギリシャのカロカイリ島で念願のホテルを完成させたソフィは、オープニングパーティの準備に追われていたが、母ドナの親友ロージーとターニャもやってきて、久々の再会を喜ぶ。
・しかし、ニューヨークにホテルビジネスを学びにいっている夫のスカイから、一緒にニューヨークで暮らさないかと誘われ、心揺れるソフィ。そんな彼女に、ロージーやターニャ、そして3人のパパのひとりであるサムらは、若き日の物語を話し始める…。

〈見処〉
①いくつもの出会いから、生まれた
 しあわせ――それが、あなた
・『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』は、2018年に製作されたロマンティック・コメディ・ミュージカル。「ABBA」のヒット曲で構成される人気ミュージカルの舞台を映画化した「マンマ・ミーア!」の10年ぶりとなる続編。本作のタイトルは、
「マンマ・ミーア」の楽曲の歌詞から引用したもの。
・本作は、主人公ソフィがホテルの開業を目指して奮闘する現在と、ソフィの母ドナの若き日である1979年の物語を交錯させながら、母から娘へと受け継がれていく物語を描いている。
・出演は、キャストにはソフィ役のアマンダ・セイフライドを筆頭に、メリル・ストリープら前作のメンバーが再結集。また、若き日のドナ役に『シンデレラ』のリリー・ジェームズ、若き日のサム役に『戦火の馬』のジェレミー・アーバイン、ソフィの祖母ルビー役に、『バーレスク』のシェール、謎のホテル支配人役にアンディ・ガルシアら、新たなキャストも参加。
・監督と脚本は『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』にて、群像劇の脚本家として定評があるオル・パーカーが務めている。

②結び…本作の見処は?
出産を控える未来の母親は、
ぜひ見ておきたい母と娘の物語
◎: まるで「ミュージカル版ゴッドファーザーPARTⅡ」。アマンダ・セイフライド演じるソフィと、前作でメリル・ストリープが演じた母ドナの若かりし日のリリー・ジェームズが奮闘するシーンを、シームレスに展開。「いつの時代を描いているか判り辛い」批評が存在も、かつての母も同じ歩みと対比出来る素晴らしい演出として、好意的に受け止めたい。
◎: ABBAの楽曲が放つ魅力は本作も健在。とくに超メジャー曲「ダンシングクイーン」の演出は、前作よりも華やかで感動的な躍動感がある。
◎: まるで「ミュージカル版X-MEN:フューチャー&パスト」。オールキャストの合唱による、エンド・クレジットシーンの「スーパートゥルーパー」。メリル・ストリープとリリー・ジェームズら新旧キャストがペアで歌い上げるシーンは、大きな見どころ。とくにオスカー女優シェールの歌唱力は、プロ・シンガーの圧倒的な実力を見せつけている。
○: 前作から10年が経過。ピアース・ブロスナンを筆頭に、キャスト全員の加齢が顕著…ながら、そのステキな歳の取り方は、ミドル世代も棄てたものじゃない気にさせられる。
○: 良化バイアスが勝るリリー・ジェームズを除き、若かりし日々を演じる新キャストのクリソツ具合は目に見張る。まさにキャスティングの勝利。
▲: ABBAの熱狂的なファンを除くと、本作に登場する楽曲の認知度は低く、自分を含むライト層の鑑賞者には、前作のヒットメドレーの方が耳に馴染むはず。
▲: 3人の父親候補と馴れ初めや、他界したはずの祖母など、前作で語られた逸話との整合性をリセットしてまで、圧倒的な存在感のメリル・ストリープの出演機会を抑制する脚本には疑問。個人的には、祖母シェールの登場ポジションは、そのままメリル・ストリープに置き換えたほうが、良かった。
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