さよこ

BPM ビート・パー・ミニットのさよこのレビュー・感想・評価

1.5
(試写会)

偏見や差別をなくそうと、実際に活動していたHIV患者の話。

前半1時間は、彼らの過激なデモ活動に共感も同情もできなかった。

主張を伝えるのに、他社に乗り込んでオフィス中を血糊だらけに汚したり、道端でデモを邪魔されたと思ったら「そいつは病人だ!傷つけるなよ!」て声高に叫んだり。せっかく治験を提案してくれてる製薬会社に言いがかりつけて、「オレの数値はもうこんなに悪い!」て怒鳴りつけたり…どう転んでも冷静に話し合いをしようとしてないし、ワガママで駄々っ子の集団、て感じ。

ただ後半になるにつれてHIVの時代背景がだんだん理解できて、少しだけ彼らの不遇に同情した。彼らの表現手段は嫌いだけど。

こんなに彼らに肩入れできないのは、この映画が「あの事件知ってるでしょ」とばかりに前置きを端折ってるから。

彼らがどれだけ人々から差別的な言葉をぶつけられたのか。彼らがどんな気持ちでこの集団に加入したのか。当時の医療課題は?政治は?大事な前置きが全然ない。

そして最大の致命傷は、この活動が社会にどんな影響を与えたのか、だ。せめてエンドロールに一行追加するだけでも彼らの功績は違って見える。

映画と思って観ると、やたら生々しさはあるけど、自分の好きなタイプのノンフィクションではなかったかな。

【追記】
主人公の演技は最高によかったです。頬のコケ方から話し方まですごくリアル。

時代背景や主人公が所属していた団体の活動内容とか、自分で調べてから観たほうが楽しめるかも。
さよこ

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