(試写会)
偏見や差別をなくそうと、実際に活動していたHIV患者の話。
前半1時間は、彼らの過激なデモ活動に共感も同情もできなかった。
主張を伝えるのに、他社に乗り込んでオフィス中を血糊だらけに汚したり、道端でデモを邪魔されたと思ったら「そいつは病人だ!傷つけるなよ!」て声高に叫んだり。せっかく治験を提案してくれてる製薬会社に言いがかりつけて、「オレの数値はもうこんなに悪い!」て怒鳴りつけたり…どう転んでも冷静に話し合いをしようとしてないし、ワガママで駄々っ子の集団、て感じ。
ただ後半になるにつれてHIVの時代背景がだんだん理解できて、少しだけ彼らの不遇に同情した。彼らの表現手段は嫌いだけど。
こんなに彼らに肩入れできないのは、この映画が「あの事件知ってるでしょ」とばかりに前置きを端折ってるから。
彼らがどれだけ人々から差別的な言葉をぶつけられたのか。彼らがどんな気持ちでこの集団に加入したのか。当時の医療課題は?政治は?大事な前置きが全然ない。
そして最大の致命傷は、この活動が社会にどんな影響を与えたのか、だ。せめてエンドロールに一行追加するだけでも彼らの功績は違って見える。
映画と思って観ると、やたら生々しさはあるけど、自分の好きなタイプのノンフィクションではなかったかな。
【追記】
主人公の演技は最高によかったです。頬のコケ方から話し方まですごくリアル。
時代背景や主人公が所属していた団体の活動内容とか、自分で調べてから観たほうが楽しめるかも。