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ヒッチコック博士の恐ろしい秘密のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.7
ヒッチコックオンパレード!!

死姦大好き変態クソ野郎なヒッチコック博士は、妻を仮死状態にして毎晩お楽しみ🙄でも量をミスって殺してしまう…。悲しんだ博士は新しい女と結婚して屋敷に連れ込んだけど、「死姦好きだなんて言えねぇ…」と思い悩み、妻は妻で「屋敷に知らない人がいる」と勝手に病んでいくゴシックジャーロ。

タイトル通りのヒッチコックリスペクト。大枠は完全に『レベッカ』で、既に亡くなった前妻の「亡霊」に怯える後妻の姿を描く。更には『断崖』の白い液体と夫に対する疑心暗鬼、『山羊座のもとに』のベッドの中の生首(骸骨)と三角関係的展開、『レベッカ』は大枠に留まらず門番としての犬に代わる黒猫だったりラストシーンだったり、『山羊座のもとに』と共通する怪しい家政婦だったりとパクリと言われても仕方ないほどのオマージュのオンパレード。どんだけ好きやねん!🤣それと『サイコ』もチョイ足しって感じ。

そしてヒッチコックだけでなく、ハマーフィルムの『吸血鬼ドラキュラ』、ヒロインのバーバラスティール繋がりからかバーヴァの『血ぬられた墓標』、そしてバーヴァ&フレーダコンビの『吸血鬼』にも(セルフ)オマージュを捧げてる。

オマージュ先がどれも強すぎるので本作のパワー不足感は否めないのだけど、ヒッチコック影響下にある精神分析的なジャーロの特色を洋館でのゴシックホラー的シークエンスと絡めることで、より深層へと分け入っていく暗喩表現として機能させており、両者をうまくミックスしていたように思う。その点では、役者の演技によりキャラクターを真正面から生態解剖していく『レベッカ』とはキッチリと差別化できている。キャラクターとして登場はしないけど、フロイトの名前を出すというあからさまな感じも好き😂

最小限のカットバックで高めるスリル、スリルとともにダイナミックに躍動するカメラ、「覗き見る」という解剖表現、不在の間の変化と従順な管理人の存在との間の齟齬が物語る「負」の充満等々、フレーダ演出は面白いものが多いと思う。ヒッチコック博士が家に着き自分の部屋まで上がるまでの冒頭シークエンスで、ブルジョワな外向きの社会的地位の裏側にある暗部へと焦点を当てる趣旨を伝えてくるわけだから全体的に丁寧。

「不在」が心の中で「実在」へと転化していく流れと、「不在」が実在化することで実在する確かな存在であるはずの自身が次第に不在化し、死に引き摺り込まれていくことを象徴する演出が散りばめられ、恐怖演出をもって人の内面を解剖する極めてジャーロらしい作品だと思った。

ただ、微妙に乗り切れないんですよね。多分フレーダの演出というよりはガスタルディ脚本に問題があるような気がする。重鎮なんだけどね。

そしてフィルマさん画像追加ありがとうございます😊毎度毎度ほんとに感謝!!
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