カンポスは Joran Van Der Sloot による身勝手な殺人に着想を得てサイモンのキャラを創造したらしい。映画からはサイモンの思考を読み取ることが出来ない。彼の行動は短慮であるが、自身の欲望にだけは忠実で用意周到、手の届く範囲にいる人間は自分の所有物であるかのように振る舞う。終いには街で再会した超かわいいマリアンヌちゃん(コンスタンス・ルソー!!)とのデート資金をヴィクトリアから徴収する始末。要するにクズなのだが、よくよく見てみてると彼はクソガキが動物のまま大人になった姿であり、"あの木になってる実が美味しそうだから"みたいな感じのフワッとした思考と重大な部分が欠落した良心に従って行動しているのだということが朧気にわかる。その子供っぽさを象徴するように、彼はマザコンでもあり、打ち捨てられた彼が最終的に助けを求めるのは遠く離れた地に暮らす母親なのだ。