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グランドファーザー 哀しき復讐の消費者のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

外国人労働者を工場へ送迎するバスの運転手として働きながら細々と一人暮らしをそていた老齢の男性、パク・キグァン
ある日、彼の元に警察から息子、ソンドゥクが死んだと連絡が入る
息子の幼少時にキグァンは酒に溺れ妻に暴力を振るっていた過去があり、それを理由に2人が家を出て以来彼らはずっと疎遠だった
そしてキグァンは幼い頃に一度会っただけだった孫娘、ポラムと葬式で再会し、しばしの間生活を共にする事となる
孫との対面から自らの我が子への仕打ちと今回の死による罪悪感を覚えるキグァンはひょんな事から自殺とされたソンドゥクの死に疑念を抱き独自に調査を始める
やがて息子、ソンドゥクだけでなくポラムも絡んだ悲惨な事実を知った彼は全ての発端である息子の上司、キム・ヤンドンへの復讐を企てていく…
というあらすじの復讐物サスペンス

ただただ救いが無く闇に溢れた邦題通りの哀しい復讐が繰り広げられていく物語が非常に韓国らしい作品だった
息子が自殺に見せかけて殺されただけでも悲惨だが事の背景がどこを見てもひたすら辛い
生前に借金を抱え自殺未遂もしていた息子、その借金を返そうと性的なサービスを提供するエステ店に勤めていた孫娘、そして息子を殺しただけでなく孫娘の働くエステ店も経営していた彼の上司、ベトナム戦争の帰還兵で枯葉剤に体を蝕まれ酒で苦痛を誤魔化してきたキグァン…
ここまで暗い背景がいくつもありながら有り得ないと切り捨てられない現実的な惨状としてまとまっていた点が良かった
枯葉剤を原因とする発作から先が長くない事を恐らく悟っていたが故であろう捨て身の復讐も戦争や猟師の経験に裏打ちされた技術あっての物でありつつも体の弱った老人という設定の現実味を失わせる様なアクションを伴った物にしていなかったのも生々しくて見応えがあった
復讐を完遂出来ずに警察に銃殺されてしまうのも韓国らしくて好きな終わり方

まだ真犯人の分かっていなかったタイミングでヤンドン宅にポラムと共に招待されたキグァンが彼と交わしていた会話に出てくる“デコイ”という狩猟に使われる木製の鴨の模型の話が終盤のヤンドンとの戦闘の中で活かされる描写など演出面もちゃんとしている

目新しい物語や設定ではないが韓国ノワールや復讐劇が好きならそれなりに満足の出来る作品だと思う
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