愛知県豊田市で豆腐屋を切り盛りする腕利の豆腐職人・島田勇作(小林稔侍)は、娘の志保(壇蜜)と二人暮らし。ある日、亡き妻の遠縁にあたる震災孤児の政美(荒井陽太)を引き取ることになる。
◆“心の復興”を描いた作品
全体を通して穏やかに、静かに、時間が流れていく作品。初春の山間の風景が美しい。
5歳で全てを失ってしまった少年が、口数こそ少ないが心根の優しい初老の職人との暮らしの中で、生きる糧を見つける。宮沢賢治の詩の一節がピタリと当てはまる。
キラッキラの、所謂スターを排したキャスティングもリアリティがあってよかった。(女将役の高島礼子がいい華を添えていた)
◆一本の映画としては
正直あまりハマらなかった。
今もなお爪痕を残し、お役所絡みの問題が再燃している凄惨な出来事。当時の映像にゾッとし、被災された方々はどれほど人生を狂わせられた事だろうかと考えると、勿論胸が痛む。
孤児の子があまりにも不躾である事は目を瞑るとして、警官のおじさんが本当に受け付けなかった(役者の方のご病気は無しにして)。悪い人ではないんでしょうけど、理屈を考えずに言われたことをただ押し付けてくるタイプに見えて仕方なかった。
義務教育とか、孤児の扱いとか、行政の対応とか、そういった背景事情を考えだすと粗雑な話だなと思ってしまった。
豆腐はすごく美味しそうで、湯豆腐をはふはふしながら食べたくなりました。